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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
プネウマの花
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?き、気持ちワルー!!」
四十七層のフィールドを南に向かって歩き出して数分後。
早速最初のモンスターとエンカウントしたのだが──
「や、やあああ!!来ないでー」
背の高い草むらを掻き分けて出現したソレは、シリカの思いもよらぬ姿をしていた。
一言で表現すれば《歩く花》だ。
濃い緑色の茎は人間の腕ほども太く、根本で複数に枝分かれしてしっかりと地面を踏みしめている。
茎もしくは胴のてっぺんにはヒマワリに似た黄色い巨大花が乗っており、その中央には牙を生やした口がぱっくりと開いて内部の毒々しい赤をさらけ出している。
茎の中ほどからは二本の肉質のツタがにょろりと伸び、どうやらその腕と口が攻撃部位となっているらしい。
人食い花は大きなニタニタ笑いを浮かべ、腕あるいは触手を振り回してシリカに飛びかかってきた。
なまじ花が好きなため、醜悪にカリチュアライズされたそのモンスターの姿はシリカに激しい生理的嫌悪を催された。
「やだってばー」
思わず、傍らに立つ小さなパーティーメンバーにヘルプの視線を送るが、それを受け止めてくれるはずの少年は腹を抱えて爆笑中だった。
「れ、レンくん〜〜!!」
怒りの視線を向けて、少しだけ笑いを引っ込めたレンが言った。まだ笑っているが。
「だ、だいじょうぶだって。そいつ、すごく弱いから。花のすぐ下の、ちょっと白っぽくなってるとこを狙ったら簡単に………」
「だ、だって、気持ち悪いんだよぉおお!!」
「そいつで気持ち悪がってたら、この先大変だよー。花が幾つもついてるヤツや、食虫植物みたいなのや、ぬるぬるの触手が山ほど生えたヤツもいるし───」
「キエー!!」
レンの言葉に鳥肌が立って、悲鳴を上げつつ無茶苦茶に繰り出したソードスキルは、当然ながら見事に空を切った。
技後硬直時間にするりと滑り込んできた二本のツタが、シリカの両脚をぐるぐると捉え、思いがけない怪力でひょいと持ち上げた。
「わ!?」
ぐるん、と視界が反転し、頭を下にして宙吊りになったシリカのスカートが、仮想の重力に馬鹿正直に従ってずりりっと下がる。
「わわわ!?」
慌てて左手でその裾をばしっと押さえ、右手でツタを切ろうとするものの、無理な体勢のせいかうまくいかない。
顔を真っ赤にしながら、シリカは必死に叫んだ。
「れ、レンくん!助けて!!見ないで助けて!!!」
「それはちょっと無理があるかな〜」
相変わらずののんびりとした笑みを浮かべるレンに軽く殺意を覚える。
ちなみに目だけはちゃんと右手で覆っている。
巨大花は何が楽しいのか吊り下げたシリカを左右にぶらぶら振り回す。
「こ、この………いい加減に、しろっ!」
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