第六話 石川大尉!!合気道でも勝つ!!その七
[8]前話 [2]次話
「虐待もでごわす」
「親が子に為す虐待」
「それもまた」
「かなり減ったでごわす」
日帝衆の道徳教育によってだ、不心得者は激減した。貧困やいじめもそうであるが百が一にまで減っている。
しかしだ、完璧主義者の西郷はこう言うのだ。
「しかし。完全には減っていないでごわす」
「だからこそ、ですか」
「元老は憂いておられますか」
「そうなのですか」
「そうでごわす、親は子を愛するものでごわす」
その虐待についても言うのだった。
「確かに厳しい躾もするでごわす、しかしそれは」
「愛故のこと」
「愛があるからこそですな」
「よき者に成長してもらいたいが故に」
「厳しく言うのですな」
「そうでごわす、躾は必要でごわすが」
しかし、というのだ。
「虐待は違うでごわす」
「感情のまま我が子を殴り蹴り罵る」
「そうしたことはですな」
「それもまた弱さから来るものでごわす」
人の心、それのだ。
「心が弱い故に」
「我が子をいたぶる」
「そういうものですな」
「ストレスが溜まろうとも」
「我が子を虐げてはならない」
「絶対に、ですな」
「それをする位なら己を罰するべきでごわす」
その心を、というのだ。
「それが出来ぬ親は親ではありませぬ」
「ですな、確かに」
「そうした親はまだいます」
二人もだ、目を閉じて西郷に応えた。
「まことに醜いことに」
「完全に減ってはおりませぬ」
「飢餓、貧困、差別、いじめ、虐待の全てを根絶する」
「それが日帝衆の目指すものですな」
「確かに難しいでごわす」
人間の裏、闇の業だ。それは非常に厄介だ。
それがそういった忌まわしきものを生み出す、人は正であるだけではない。負もあるからこそそれが生じるのだ。
西郷もそれがわかっている、だから言うのだ。
「それがあってはならないでごわすが」
「どうしてもですね」
「この世にありますね」
「それを根絶しなければ」
「王道楽土は訪れませんか」
「再併合は確かに悲願でごわす」
ジャスティスカイザーが手段を選ばず阻んでいるそれもだ。
「しかしそれはそのうちの一つでごわす」
「我等が目指すのは究極」
「完璧ですから」
「だからですね」
「いじめや虐待を」
「人の意識改革でごわす」
人間の心自体をそうしようというのだ。
「一人一人が心掛けてそうして」
「いじめや虐待をなくす」
「そうあるべきですね」
「そうでごわす」
まさにというのだ。
「ここはそうすべきでごわす」
「では道徳教育をですね」
「これまで以上に」
「推し進めていくでごわす」
これが西郷の考えだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ