第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
25.July・Midnight:『Accelerator』
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味を失って一人、また一人と。
「嫌だねぇ……何でもかんでも能力、能力。別に人の関節くらい、能力使わなくても外せるっての」
それを見送る事もなく、吐き捨てる。馴れ馴れしく、肩、抱いたままで。
「暴漢を追い払ってくださった事にはお礼を申し上げます。しかし、肩に手を回す必要はあるのでしょうか、とミサカは疑問を口にします」
「ハハ、やっぱり?」
ジト目で見詰めてくるミコトに悪びれる事なく、肩から手をどけて一歩、距離を取る。来るかもしれない、電撃に備えて。
しかし、杞憂に済む。何と言うか、いつもと違って覇気の無い彼女の様子に、若干の不安を抱いて。
「大丈夫か、御坂? こんな夜中に出歩いてたら、また寮監さんにシバき回されるんじゃ?」
「心配は無用です。今はただ、待っているだけですから、とミサカは答えを返します」
「『待っているだけ』って……誰を────」
「────なンだァ、今回は野郎のおまけ付きかよォ?」
そこまで口にした瞬間。彼女の背後の路地、一層深い闇の中から歩み出てきた人物。白い髪に、赤い瞳。妙な柄のシャツを着た、如何にも柄の悪い────その少年は、ミコトと嚆矢を一瞥した後、面倒臭げに呟いた。
惜しむらくは、少し前に煙草を吸っていた事。その所為で鼻が鈍っていなければ、彼の纏う濃密な血の香りに気付けたかもしれない。
「いいえ、この方は無関係です。そして今日のノルマは達成済み、指示あるまで待機の命令を受けています、とミサカは答えます」
「あァそうかよ。じゃあ、後片付け宜しくなァ。今回は少し、ド派手にブチ撒けたからよォ?」
「承知しています。全て、見ていましたから」
慣れた様子で、流れるような会話を交わす二人。言葉を挟む余地もない、事務的な雰囲気すらある。
ここで、一つの可能性に思い至って。まさかな、と苦笑いに口角を吊り上げる。
「…………あぁ〜、ね。お邪魔したか、こりゃ失礼」
「はい?」
「あァ?」
そんな少年とミコトの会話、その以心伝心と言った具合の会話に────ピンと、得心がいって。嚆矢は戯けた様子で、ぺし、と自分の額を叩いて。一歩の距離から、一気に五歩の距離へ。
二人から同時に、怪訝な顔を向けられて。それでも尚、道化のように恭しく頭を下げて。
「馬に蹴られる前に、退散退散……それじゃあお二人さん、良い夜を〜」
ジェスターマスクのような笑顔を張り付けて、某黄色いスーツのダンディなお笑い芸人のように、素早く捌けていく。見送
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