第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
25.July・Midnight:『Accelerator』
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違う顔を見せる雑踏を歩く。言うなれば、昼間は品行方正な学級委員長。夜は落第上等な非行女学生か。ソソる噺だ。
そんな、取り留めの無い事を考えながら。或いは、現実逃避しながら。歩く先、ふと見た路地裏。そこに、見た事覚えのある姿を。
煙草をショゴスにくれてやり、気を取り直して、努めて明るく。
「おーい、御坂!」
「………………?」
見覚えのある、常磐台の制服。嫌に真新しく感じたのは、このネオンに満ちた夜の都市の所為か。
胡乱に立ち尽くしていた彼女、その瞳────虚ろな瞳が、此方を見詰めた。ぞっとする程、無機質な瞳が。
「ん? どうした、御坂? そんな『うわぁ、ロリコン気味の先輩に会って嫌だなぁ』みたいな顔して?」
「ミサカネットワークに照会、該当なし…………どちらさまでしょうか、とミサカは問い掛けます」
「って、それ俺の事やないかーい……おい、御坂? ここを自分で突っ込ませるのはドSの所業だぞ?」
等と、戯けて口にしながら。見遣る先、虚ろな眼差しで此方を見ている……御坂美琴へと。
「どうやら伝わっていないようなので、どちらさまでしょうか、と。ミサカは再度、問い掛けます」
先程も見た、ゴーグルのような物を額にした御坂美琴へと。問い掛けながら。虚ろな眼差し、受け止めて。
再度の、虚ろな眼差しを受けて。流石に────何かやらかしたかと、不安になって。
「いやいや、御坂。知らんぷりは流石に先輩、答えるんだけど……あれか、不思議ちゃんにクラスチェンジ?」
しょんぼりと、アスキーアートのように顔を変えた。処世術、正にそれ。そうやって、人の関心を得ていたからこそ。
刹那、叩かれた肩。煩わしく振り返れば、成る程、先程まで其処らに居たゴロツキども五人。
「悪いねぇ、兄ちゃん。その子を待たせてたのはさ、俺らなんだよ」
「あァ─────?」
それに、応えてやる。振り返りながら、わざわざ。
「だからよぉ、テメェはお呼びじゃ……ねぇって…………あれ、ひギィ?!」
ゴキリ、と外れた男の右手。手首、肘、肩のみならず、指先に至るまで。捩れ避けた手首を押さえ、味わった事の無いであろう苦痛に身を捩る不良を見下ろして。否、右足で蹴りつけながら。
傲慢に、傲岸に。嘲笑いながら告げる声で、ミコトの肩を抱いて。
「あァ、全くもってお呼びじゃねェなァ。これは俺の女だ。ゴミ屑風情がァ、手ェ出そうとしてンじゃねェよ────!」
「の、能力者……?!」
「ヒッ─────す、済みません、済みません!」
挙げ句に、威圧されて逃げ惑う彼ら。散り散りに、散逸して夜の街の喧騒に消えていく。
それを眺めていた通行人達も、興
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