第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
25.July・Midnight:『Accelerator』
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すか?」
先ず、第一に大事な事を口にした。取り合えず、今ある現金は全て、下ろして来はしたが。足りるのか、と。そんな彼に、師父は安堵を誘う瞳と笑顔を見せる。
男が見ても惚れ惚れする美男子、女なら既に落ちていてもおかしくはない笑顔で。
「そうですね……先ずは、幾ら払えるか、からでしょうか」
悪魔よりも腹黒く笑いながら、何故か、その瞳は────性質の悪い、醜悪な。腹を空かせた蝦蟇を思わせて。
震えたのは、弟子か。僅かな慈悲を願って。それが、現実のものとなるように。
「まぁ、それは兎も角。態々、この世で最も従順ならざる使い魔を選ぶとは……君は、余程ハードモードの人生が好きなようだ」
「そうですか? なんか、間抜けな奴ですけど」
微笑むように、師父が苦笑いする。見詰める視線は、背後の影。血涙を流す深紅の瞳、辺りに巡らせるショゴスへと。
否、本当にショゴスにかどうかは判別がつかない。正面と背面、同時には見れはしないのだから。
「では、拳銃は私からの御祝いと言う事で。合衆国協同協会の魔導師二人を退けた、ね」
「…………」
知っていた事には、別段驚きはない。この人はそういう人だと、随分昔から知っている。恐らくは、今回の仕事の内容も知っている事だろう。
一体それが、どんな魔術か。或いはそれ以外なのか。そもそも、この閉鎖的な学園都市内で、このような軍用品や横流し品をどうやって捌いているのか。分からない事ばかりである。分かっている事など、ただ一つ。
「……相変わらず、師匠の“象牙の書”は謎だらけですね」
僅かな意趣返しか。鎌を掛けるように、口を開く。それに、師父はうっすらと。
「いえいえ。この世の遍く全ての知識を記す、君に潜む『真作の年代記』程ではありませんとも」
「え────?」
うっすらと、相変わらず笑いながら。何か、聞き逃してはならない筈の言葉を、聞き取れない。まるで、人の物ではない喉で、無理矢理発されたような、その掠れ声は。
「そう。背後に佇むその『影』、顕現まで果たした『クルーシュチャ方程式』の元に。すぐに、すぐに……君は」
ふと、正気に帰れば……聞き返す、そんな単純な事すら憚られる。それ程だ、目の前の魔人の放つ瘴気は。薄明かりの室内に満ちる闇の色、狂ったように掻き鳴らされるレコード盤を掻き毟る音色。
最果てで響く、か細く呪
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