群雄割拠の章
第六話 「ぬわんですってぇ!」
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盾二殿……我らはいつもお傍に」
「だからぁ! 俺じゃなく、白蓮の方に言えよ!」
俺は振り向きながらそう怒鳴る。
今日、すでに三度目の、ではあるが。
「いえ! 確かに我らの『仮』の主は公孫賛殿ですが!」
「……『真』の主は盾二殿ゆえ」
「なんでそうなるんだ……」
これももはや本日三度目のやりとり。
いい加減、頭が痛くなってきた。
この糜竺と糜芳という兄弟の事である。
陶謙からの要請で白蓮を巻き込むべく、口八丁で矢面に立たせるために派遣されてきたという二人だった。
というのも、俺が天の御遣いとかいうのだとわかった途端、手のひらを返すように洗いざらい全部暴露してくれやがったからだ。
聞いてもいないのに、如何に陶謙が粗暴で小狡い男かと延々と……
あげく、その陣容の詳細な内容までぶっちゃけた。
この男に守秘義務という言葉はないらしい。
まあ、それだけ必死だったのだろうとは白蓮の言だけど……いいのか、こんなのを信用して?
とはいえ、まるで犬のように必死に機嫌を取ろうとしてくるので無下にも扱えず、とりあえず白蓮の命令を第一に聞くことを条件に受け入れた。
そもそも、俺は白蓮に養われている身の上だし、俺個人に仕えるとかありえないわけで。
にも拘らず、次の日から俺にまとわりつくようになったのだ。
まるで金魚のフンのごとく。
もちろん何度も断った。
仕事もしろといった。
けど、この二人……恐ろしいことに、自身の仕事を完璧にこなした上で、俺の下に来ている。
しかも、どんなに忙しい仕事も午前中のうちに必ず済ませてくるのだ。
正直、本当に仕事をしているのか白蓮に確かめたところ……
「ああ、完璧だ。正直、ここまで有能だとは思わなかった」
とのこと。
というか、そこまで仕事できるなら俺の下にこられないぐらいに仕事を押し付けてはと思ったのだが……
「すでに普通の文官武官の三人分を任せている。こいつら、それを寝る間も惜しんでやっているんだ」
とのこと。
『どんだけー!』と叫びたくなったわ。
てか、幕下に入ったばかりの人間にそこまでやらせる白蓮も白蓮だが、それをこなしてしまう二人もすごい。
すごいんだが……すげえ残念なのは、なんでだ。
まあ、仕事が出来るのはいいことなんだが……困ったことに、俺に付きまとうのはどうにかして欲しい。
しかも、俺から頼み事をされるのを至上の喜びという顔はやめて欲しい。
一度、冗談で搾りたての牛の乳が飲みたいと言ったら、周辺の農邑を駆けまわって乳の出る牛を探し出し、一抱えもある壺に満杯にして帰ってきた。
まる二日、寝ないで。
流石に冗談とも言えず、煮沸してから飲ん
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