群雄割拠の章
第六話 「ぬわんですってぇ!」
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功しました。ご命令通り、すぐさま春蘭が処刑致しております」
「そう……本懐を遂げたわね、春蘭」
「は」
姉者は、静かに頭を下げる。
自身の手で仇を討てたことに、深く感謝しているようだ。
「また、以前より陶謙に反抗していた臧覇から、華琳様に恭順するとのこと。数日後にこちらに合流する予定です」
「臧覇……有能な人材と聞いているわ。そんな人材に見放される陶謙……所詮はこの程度ということ」
華琳様は、未だ燃え盛る?を横目で見て、鼻で笑った。
「まったくです。ただ……」
「ただ?」
桂花にしては歯切れの悪い言葉に、華琳様が首を傾げる。
「申し訳ありません。曹豹など、数名の逃亡者を許してしまいました。また、陶謙幕下において陶謙自身が助力を乞うて、自らの陣営に仕官させた人物が二名おります。ですが、我らが再侵攻する前に陶謙幕下から調略を受けたようでして」
「へえ……それが有能な人物だと?」
はて……陶謙幕下にそれ程の人物などいただろうか?
「糜竺・糜芳という兄弟です。豪族としてもかなり裕福な家系のようですが、それ以上に兄は政治、弟は軍事に才があったようです。特に兄の才覚は、陶謙幕下では群を抜いていたとのこと」
「へえ……それは惜しいわね。調略を受けたってことは、どこかに幕下に移ったのね。このあたりとすれば……麗羽か袁術か」
「いえ、それが……どうやら公孫賛のようで」
「……へえ」
華琳様が意外そうな顔で桂花を見る。
私も同じ思いだ。
あの公孫賛が、他国の人材を引き抜くような人物とは思ってもみなかった。
「あの公孫賛がねえ……どういう心境の変化かしら」
「ふむ……そういえば最近、軍の強化に動き出しているという話もありましたな」
「そうね、秋蘭。もしかしたら……ようやく目覚めたのかしら?」
「公孫賛もこの時代で力を持つ諸将の一人。もしかしたら……ですか」
劉虞との一件で、あの公孫賛も変わったやもしれない。
とすれば、それが華琳様にとって吉とでるか、凶とでるか……
「はっ……ただ……」
「?」
「いえ、なんでもありません」
桂花は逡巡した後、頭を振ってそう締めくくった。
この時、桂花が『そのこと』を言っていれば、華琳様は別の手を打っていたのかもしれない。
だが、結果的に桂花は確証がないとして、それを言わなかった。
だから……私達は事が起こるまで、それを知ることはなかったのだ。
天の御遣いが、公孫賛の元にいるかもしれないということを……
―― 盾二 side 平原 ――
どうしてこうなった。
「盾二殿! ご命令を!」
「
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