群雄割拠の章
第六話 「ぬわんですってぇ!」
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……………」
尋ねた私に、桂花は無言で私を見る。
その顔は、言おうかどうしようか迷う表情。
その視線は時折、燃え盛る?に向けている。
………………
「……必要なことなのだよ、桂花。華琳様にも……姉者にも、な」
「……否定はしないわ。でも……」
桂花の言いたいことはわかる。
これだけの大虐殺。
大陸ではすぐに噂になるだろう。
そしてついてまわる華琳様の悪名。
無辜な民を虐殺した殺戮の王として、後世に名を残すことは間違いない。
「だが、だからどうしたというのだ」
「えっ……?」
私は桂花にそう呟く。
「古来より、この大陸では自軍の兵だろうが無辜の民だろうが、殺し尽くしてきた英雄英傑など数知れぬ。高祖はどうだ? 和睦し天下を半分にすると約定した項羽の背後から襲撃し、天下を盗みとった。自身に忠節を誓っていた韓信を、猜疑心から貶めた。だが、高祖が漢を興して約四百年。それでも人々は、高祖をして『英雄はかくあるべき』という」
「………………」
「成したことが悪行よりも上ならば、それを後世の人物は偉人、英傑というなら……華琳様は、必ずそう呼ばれるだろう。あの方は必ずそれを成すからだ」
そうだ。
華琳様は間違いなく英雄であらせられる。
その思想、能力、才能、天運、人運、その全てが華琳様に大事を成せと示されている。
それら天賦をも上回る、血反吐を吐くような努力を重ねて。
だからこそ私も姉者も。
華琳様を自身の主として忠節を誓うのだ。
華琳様以外に、この大陸を統べる者などありはしない。
数ある英雄英傑の上に立つ人物こそ、華琳様しか存在しない。
あの天の御遣いすらも、華琳様はいつか必ず乗り越えられる。
私はそう、信じている。
「だからこそ……お前もここにいるのだろう、桂花よ」
「あ……当たり前じゃない! 私こそ、誰よりも華琳様を信じているわ! バカにしないで頂戴!」
ふっ……それでいい。
我らはただ、信ずるのみ!
華琳様こそが……この乱れた世を治める方なのだから。
「どうしたの、桂花。大声を出して」
「あっ……華琳様」
と、燃え盛る?を見ていた華琳様がこちらを振り返る。
どうやら先程の桂花の大声に気づかれたようだ。
「い、いえ、なんでもありません!」
「そう? まあいいわ。それより、報告があるのではなくて?」
「あ、はい!」
すでに華琳様の横顔からは、先程の悲しみの色は見えない。
この切り替えの早さも、華琳様の人の上に立つ資質であろう。
「まず、陶謙幕下の者達ですが、前回侵攻時からこちらに接触してきた陳珪や陳登のおかげで、曹嵩様の殺害を手助けした者共の捕縛に成
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