群雄割拠の章
第六話 「ぬわんですってぇ!」
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―― 曹操 side 徐州 ? ――
目の前に火が広がる。
今、私は万感の思いを込めて、その燃え盛る炎を見つめている。
私の目の前で燃え盛るのは、徐州最大の都であった?。
実に十数万という民が住んでいた都。
その徐州最大の都は、目の前で煉獄の炎に包まれている。
「我が父よ……私が貴方に手向けるは、この送り火です。貴方の無念、貴方の悲しみ、貴方の憤怒は、徐州全ての民の亡骸を貴方の御霊に捧げます。どうか、どうか安らかに……」
徐州は燃える。
我が父を殺した陶謙は、南に逃げようとしたところを捕らえ、四肢をもぎ、?の城門の上に晒した後、都ごと火をかけた。
我が父を助けず、その居場所を洩らした徐州の民は、父の元――泰山府君の元へと送った。
あちらで父により、更なる処罰が与えられることだろう。
私はただ父に祈る。
どうか安らかに。
我が慰めをお受けいただけるように、と。
そして父よ、私を天上より見守って下さい。
貴方の娘は……必ず天下を治める覇王となり、このような悲しみのない、力あるものが正しく認められる世界を作ります。
腐敗の続く漢の未来を憂い、善政を目指して忠勤に励んだ我が父、曹嵩巨高。
実力で太尉の地位になれるだけの力を持ちながら、血を吐く思いで宦官に賄賂を贈った父。
そんな父の辛さ、悲しさこそ、私が幼少の頃から女淫に耽った放蕩の原因。
私は、そんな漢を憎んだ。
そして私自身が上に立ち、世に蔓延る悪癖を打倒するために立ち上がったのだ。
私には、私を理解してくれる春蘭がいる、秋蘭がいる。
桂花も季衣も霞も加わった。
さらに最近我が軍に入った武官・文官候補たちもいる。
そして私の後ろには、献帝という大義名分があるのだ。
もはや、恐れるものは何もない。
私は私の道を征く。
だから父よ……そして、今は亡き祖父よ。
――いえ、お父様、そしてお祖父様。
どうか私を……華琳の征く末を。
遥か彼方よりご照覧ください……
―― 夏侯淵 side ――
「華琳様……」
私は燃え盛る?を見る華琳様の横顔に、とてつもなく大きい悲しみを感じた。
その姿は、孤高の王のようにも視え。
また、一人の泣きつかれた女児のようにも視えた。
私の横には、失った片目に眼帯をしたまま、静かに目を閉じた姉者がいる。
きっと、姉者も自身の叔父である曹嵩様を想っておられるのだろう。
「ね、ねえ、秋蘭……」
不意に私の後ろから声がする。
振り向けば、そこにいたのは桂花だった。
「どうした?」
「……………
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