第9話〜ケインの受難〜
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や、嫌いだな。だから、早く終わらせる術を身につけたっていうか、単に慣れているっていうのか・・・」
「そうか。改めてお礼を言わせてくれ」
リィンの感謝の言葉に微笑を浮かべたケインは、「どういたしまして」と返しておく。
そして全員が30分も満たない内に今日のレポートを書き終えてしまった。
時刻は3時を回ったところのようだ。
「後日に提出する予定だったはずだが、早々に終わってしまったな」
「まぁ、何ていうか義務的なものはさっさとやってしまう主義なんだよな。
俺はこうやってみんなと話してるだけでもいいんだけど、リィン、どうする?」
「そうだな・・・せっかくだから、少し大市を見て回らないか?
新しい発見ができると思うし、レポートの内容も増やせるかもしれない」
「それに、気分転換にもなるよな。俺は構わないよ」
「私も賛成よ。それにしても、あなたもリィンも生真面目すぎるわよね」
「?そうかな?リィンはともかく俺は、やるからには最善を尽くしたいってだけだよ」
「それを生真面目って言うんじゃない・・・」
その後結局、特に反対意見もなくA班全員で大市を見て回る事になった。
バリアハート産の上品質そうな毛皮、ブレスレット等の装飾品、食料品、Z組担任の某教官が喜びそうなケルディック産の地ビールに至るまで多種多様な物が揃っていた。
取っ組み合いをしていた二人の商人も盗品が無事に帰った来たため、大市に復帰しており、屋台こそ無いが商売は再開できている様子だ。
「マルコさん。ベーコンとチーズを少し買わせて下さい」
「あ、ああ。ちょっと待ってろよ・・・・・・ほら」
「ありがとうございます。それと、失礼な事を言ってすみませんでした」
「ケイン、そなた・・・」
昨日の非礼を詫び、地元の若い商人であるマルコに、深々と頭を下げるケイン。
「・・・元締めから全部聞いたぜ。お前らが事件を解決してくれたんだってな。
これで、俺も損害を出さずに済んだってわけだ」
「俺は・・・何もしていませんよ」
「ふう、素直じゃありませんね。ケインとラウラにお礼が言いたいなら、
初めからそう言えばいいのに」
「う、うるせえ!」
アリサがもっともらしい正論を口にすると、マルコはそれだけを返してケインたちを取っ払おうとする。
「まぁ、素直じゃないのはアリサも一緒だから、もう勘弁してやれって」
「・・・どういう意味よ?」
「そのままの意味だけどな」
「ケイン、ちょっと向こうで話し合いましょうか?」
ケインのささやかな抵抗もむなしく、彼はアリサに片手を掴まれてどこかへ行ってしまった。
「えっと・・・あれ、放っておいていいのかな?」
「ふむ、仲良きこ
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