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戦国異伝
第百八十話 天下の宴その十八
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精進ものも用意していましたので」
「呼んだでおじゃるな、あの二人も」
「はい、高田殿と同じく」
 ここではこう言ったがだ、やはり信長は彼と二人の間柄には気付かなかった。公卿と僧侶の違い故にである。
「そうしましたが」
「来なかったでおじゃるか」
「公方様はあの通り来られましたが」
「ふむ、それも面妖でおじゃるな」
「とにかくお二人もですな」
「そうでおじゃる、その素性がわからんでおじゃる」
 それも全く、というのだ。
「どうにも」
「お二人ともかなりの法力とのことですが」
「その法力にしても」
「何処で身に着けたのかは」
「わからぬでおじゃる」
「あの御仁達は面妖なことばかりですな」
「全くでおじゃる。どういった者達なのか」
 わからぬとだ、近衛も言うのだった。
 そしてだ、茶を飲んでだった。
 そうしてだ、信長にあらためて言った。
「では天下のことは」
「はい、それでは」
「帝からもお言葉があるでおじゃるが」
 その帝のお言葉もあり、というのだ。
「右大臣殿に委ねるでおじゃる」
「有り難きお言葉」
 信長は近衛のその言葉に深々と頭を下げた、そうしてだった。
 彼もまた茶を飲む、安土での話は政だった。だがそれは次の大きな戦も見据えたものであり信長はそのこともよくわかっていた。


第百八十話   完


                        2014・5・1
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