第百八十話 天下の宴その十六
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「そう思いますが」
「いや、相模よりもな」
小田原のあるあの城よりもというのだ。
「武蔵の方がよい」
「あの国の方がですか」
「東国全体を治めるにはな」
こう信行にも言うのだった。
「だからじゃ」
「武蔵ですか。相模ではなく」
信行はこのことには今一つわからないものを感じてこう言うのだった。
「小田原だけでなく鎌倉もありますが」
「それでもじゃ」
「武蔵ですか」
「あそこに大きな城を置いてな」
そして、というのだ。
「あの国を東国を治める拠点にする」
「左様ですか」
「まあ色々考えておる、ではこれからは」
「はい、今より」
「政の話となりますな」
「そうするとしよう」
こう弟達に話した信長だった、そして彼等と話をした後でだ。
今度は近衛と共に茶を飲むことにした、その話を利休にしてだ、彼はこう言った。
「さて、またな」
「政ですな」
「その話をする」
「近衛様とも」
「そうする、これよりな」
こう言ってそしてだった、信長は今度は近衛と共に茶を飲んだ。すると近衛の方から信長が入れた茶を一口飲んでからこう言って来た。
「この天主閣というものでおじゃるが」
「はい」
信長もその近衛に応える。
「何でしょうか」
「神仏を集めておられますな」
「はい、あらゆる神仏を」
「そうでおじゃるな、耶蘇教のそれまで」
「そうしました」
「主の部屋でおじゃるが」
ここで近衛の目が光った、そのうえでの言葉だった。
「あれは右大臣殿の場でおじゃるが」
「その通りです」
「天の主ということでおじゃるか」
こう信長に問うのだった。
「この世の」
「いえ、この城は天下を守るものです」
「では右大臣殿も」
「この城は邪なものからも都を守るものなので」
「右大臣殿はそこに入られてか」
「はい、天下を守ります」
こう近衛に答えるのだった。
「そして帝もまた」
「帝をお守りして頂くか」
「この国はまつろわぬ者がいましたな」
ここで信長は記紀のことを言った、古事記と日本書紀のことだ。
「それも多く」
「消えたでおじゃるがな、どの者も」
「しかし、どうもおる様な」
「そう思われるか、右大臣殿は」
「はい、ですから」
それでだというのだ。
「その者達からも守る為にも」
「ううむ、ではあの座は」
「それがしもです」
信長、彼自身もだというのだ。
「天下を守るものの一つになる為に」
「あの座に座られるか」
「左様です、天主はこの国を守る柱の一つです」
「そこまで考えておられるとは」
「帝にもお伝え下さい」
今度は信長から近衛に言った。
「確かにそれがしは法を定めますが」
「その法もじゃな」
「帝、天下万民を守るものなので」
「安心してじ
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