第百八十話 天下の宴その十三
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「だからじゃ」
「政に打ち込みますか」
「本願寺との戦がまたはじまるまでな」
「本願寺との戦がはじまれば」
再びだ、それがはじまればと言う信広だった。
「毛利と」
「間違いなくあの家も動くな」
「そしてじゃ」
さらにというのだ。
「東も動くわ」
「武田、上杉に」
「北条もな」
この三家もだというのだ。
「甲賀者達が調べておる」
「東国のことも」
「東西からな、攻めて来る」
そうなるというのだ、再び本願寺との戦がはじまれば。
「これまでの戦よりも遥かに激しい戦になる」
「ですな、そしてその戦は」
信行は茶を前にして息を飲む、そのうえで兄に答えた。
「天下を決める」
「そうじゃ、ここで我等が敗れれば」
「天下は再び乱れる」
「大名達が争い続けますな」
「それが続く、しかしじゃ」
「我等が勝てば」
「天下は大きくな」
まさに、というのだ。織田家が勝てば。
「統一に向かう」
「まさにその分かれ目ですな」
「無論わしは一つにする」
統一、それに向かうというのだ。天下布武の言葉通り。
「一気にな」
「そうされますな」
「だからじゃ」
「本願寺を完全に抑えると共に」
「四家もじゃ」
武田、上杉、北条、それに毛利もというのだ。
「その治めている国々と共にな」
「打ち破り」
「そのうえで」
「従える」
そうするとだ、信長は弟達に言い切った。
「そうするぞ」
「畏まりました」
「ではその時は」
「その前に天下を一つにした時の手を既に打っておく」
「だからこそ我等も」
「暫くの間は」
「武家、朝廷、寺社にじゃ」
それにだった。
「百姓、町民とな」
「この国の全てに対して」
「法を」
「国は法がまずあってこそじゃ」
信長はこの考えは徹底している、だからこそ彼が治める国々は非常にまとまり領民達は泰平を謳歌していられるのだ。
「人が治めるのではなくな」
「法ですな」
「それが国を治めるのですな」
「わしがいなくなってもな」
人間五十年、信長の考えはここでも出た。
「法があればな」
「国は治まりますな」
「見事に」
「わしの後も考えておる」
信長のその後も、というのだ。
「奇妙が継ぎ、じゃ」
「そして、ですな」
信行はあえて言った。
「その後は」
「奇妙の子が継ぐが」
「直系が万が一絶えれば」
「その時はわしの子達からじゃ」
そのそれぞれの息子達からだというのだ。
「三つ程それが出来る家を設けておいてな」
「その家からですな」
「跡継ぎを出す」
そうする様にするというのだ。
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