第二十四話 麗しき和服その十二
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「いい着物だからさ」
「絹でね」
「そうですか」
「その着物桜ちゃんの家のやつかい?」
「いえ、家に代々あるものです」
そうだとだ、桜は薊に答えた。
「お祖母様も着ておられたとのことです」
「へえ、そうなのか」
「西陣織です」
その織り方も話す桜だった。
「京都の」
「それが西陣織ね」
「そうです」
「そうなのね」
裕香はその西陣織の着物を見つつだ、そのうえで桜に言うのだった。
「私西陣織はじめて見るわ」
「あたしもだよ、噂には聞いてたけれどな」
「そうなのですか」
「そう、これまでね」
「そういうの見る機会なかったからさ」
だからだ、今言うのだった。
「ちょっとね」
「驚いてるよ。とにかくさ」
ここまで話してだ、そのうえで。
薊から二人に百貨店に行こうと言ってだ、まずは。
屋上に出てそこのスナックコーナーで色々と食べた。薊は特大のオムライスを掻き込みながら焼きそばを食べている裕香、カレーを食べている桜に言った。
「桜ちゃんは特に注意しないとな」
「カレーが服にかからない様にですね」
「ああ、さもないとな」
その見事な和服を見つつだ、薊は桜に話す。
「折角の着物がな」
「はい、わかっています」
桜も確かな声で答える。
「そのことは」
「そういえば桜ちゃんの食べ方って」
そのカレーを食べるのを見てだ、裕香も言う。
「綺麗よね」
「そうだよな、カレーの食べ方も」
「何か流れるみたいで」
「和服でカレー食っててもな」
薊も言うのだった。
「汚れる気配ないな」
「そうよね」
「和服で洋食を食べることも多いので」
桜の場合は、というのだ。
「こうした時もです」
「大丈夫か」
「そうなのね」
「食事の時に服は出来るだけ汚さない」
このことも自分から言う桜だった。
「幼い頃から躾の一環として教えられています」
「それは凄いな」
薊は桜のその言葉を聞いて目を丸くさせて述べた、やはりオムライスを掻き込みながら。その隣には空になったラーメンの丼がある。
「あたしなんかそれこそな」
「私も」
裕香は牛丼をその焼きそばと一緒に食べつつ応えた。
「子供の頃とかね」
「服しょっちゅう汚してたよ」
食べている時にというのだ。
「本当にさ」
「今でもたまにね」
「ああ、たまにな」
「そうよね、けれどね」
「桜ちゃんはな」
まさにだ、流れる様な綺麗な動きでだ。
見ればカレーを食べていく、そしてだった。
カレーの後でスパゲティミートソースも食べる、その桜を見て言うのだった。
「本当にお嬢様だな」
「そうよね」
「食い方って出るからな」
「育ちがね」
「そうそう、品性ってやつがさ」
その人の、というのだ。
「本
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