第147話
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、すけ・・・)
親指と人差し指の間に挟まっていた写真が、ひらりと落ちた。
それと同時に、黄泉川愛穂の意識も完全に失われる。
どれくらい走っただろうか。
麻生恭介は第七学区の繁華街らしき店が多く並ぶ所を走っていた。
本来ならこの時間帯でも、人や店などが灯りを灯して賑やかにしていただろう。
しかし、今はその面影すらない。
灯りは消え、人の気配が全くしない。
麻生は人通りの多そうな所を中心に走っていた。
打ち止めの捜索をしていた愛穂は車でこの付近を見て回っているかもしれない、と思ったからだ。
一方通行の話を聞いた時、愛穂は車内で色々捜査すると聞いた。
なので車での移動をしている事は間違いないだろう。
だが、この異変に気がついた愛穂は捜索を中断して、この異変を調査する可能性がある。
そうなれば行動を予測する事は難しい。
携帯での連絡ができないこの状況では、一刻も早く見つける必要がある。
桔梗の方も愛穂のマンションを出ていない事を祈るしかない。
(連絡が取れないこの状況はやはりきついな。)
この異常な電波障害の状況に舌打ちをしつつ、愛穂の車を探す麻生。
その時だった。
ドン!!、という凄まじい轟音と何かが破壊されていく音が同時に聞こえた。
一瞬、一方通行が能力を使って派手に暴れているのかと思った。
が、その音は数メートル先のイタリア料理系のファミレス店の中から聞こえた。
「・・・・・」
少しだけ考え、そこに向かう。
こんな状況下でなければ間違いなく無視する。
馬鹿な不良が喧嘩しているのだと、適当に考える。
しかし、『猟犬部隊』や原因不明の昏倒。
それに麻生の直感。
これらが飛び交うこの状況で少しでも情報が欲しい麻生はそのファミレス店に向かう。
割れた窓ガラスからこっそりと中の状況を窺う。
中の状況は悲惨な光景だった。
床や壁や柱などほとんどがボロボロの状態で、ファミレス店にいる客も料理に手をつけることなく、テーブルや通路に伏している。
そんな中、二人の人物が戦っていた。
一人は服装が、中世ヨーロッパの女性が着ているようなワンピースにも見える。
髪は全て頭で束ねられた布で覆われ、毛の一本も見えない。
顔は、口も鼻もまぶたもピアスが取り付けられていて、バランスが崩れているほどだった。
目元には強調するようなキツい化粧が施されていて、威圧感が余計に増していた。
そして、手には全長一メートルを超す巨大なハンマーが握られていた。
グリップの中ほどから先端にかけては、鋭い有刺鉄線がグルグル巻きにしてあった。
柄の掴まれないための防御策か、それとも儀礼的な装飾なのか。
その女性に
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