第二十四話 麗しき和服その九
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「とてもな」
「私もね」
菫も言う。
「そんな高い服は」
「持ってないよな、桜ちゃんも」
「そうした服はやっぱり」
「お金持ちが買うよな」
「そうした服よ」
「あたしブルジョワジーには縁がないからな」
こうも言う薊だった。
「だからな」
「桜ちゃんのお店にも」
「行かないだろうな」
今後も、という言葉だった。
「やっぱりな」
「大人になっても」
「そこまで金持ちになったらそりゃいいさ」
しかし、というのだ。
「けれどそうなる為にはな」
「色々とね」
「お金持ちになることも難しいだろ」
そうした呉服を買えるまでにだ、生きる糧を得るまでもだがそこからさらに収入を得ることはさらに難しい。
それでだ、薊は言うのだった。
「まあ何かで一山当てたらな」
「その時は」
「ああ、桜ちゃんのお家に行ってな」
桜を見つつ彼女に返す。
「買わせてもらうな」
「ではお待ちしています」
桜はその薊に優しい笑顔で返した。
「その時を」
「待っていてくれよ、しかし呉服ってな」
「何か」
「っていうか呉服屋さんってな」
桜の店の商売は、というのだ。
「お金になるんだな」
「そうでしょうか」
「ああ、だって桜ちゃんの家凄い立派だしな」
和風のその屋敷のことも言うのだった。
「それにな」
「それに、ですか」
「お庭だって凄いし桜ちゃんが普段着ている服も」
「そちらもですね」
「いいものばかりだろ、だからな」
「呉服屋はですか」
「お金になる商売なんだな」
こう言うのだった。
「何か絹織物とか凄い保管が大変そうだけれど」
「はい、破いても汚れても駄目ですし」
まずこれが全面的にノーだった。
「それに虫も」
「絹にも虫がつくんだな」
「そうです、元々蚕の糸ですから」
「だからか」
「虫にも気をつけて」
「保管しないと駄目か」
「品質管理も重要です」
絹についてはというのだ。
「中々」
「そうなんだな」
ここまで聞いてだ、薊はこうも言った。
「和服だけじゃないよな、絹は」
「世界各国で着ています」
「そうだよな」
「絹のはじまりは中国です」
「そこから世界に広まってっていうのは世界史であったよな」
「そして欧州でも絹は使います」
ドレス等にだ、勿論高級素材である。
「そして下着にも」
「ああ、シルクの下着な」
「それもあります」
「あれな、ちょっとな」
薊は絹の下着についても言及した。それは彼女にとっては一体どういったものかというのだ。
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