暁 〜小説投稿サイト〜
東方紅魔語り
第一章 紅魔館
Part1 廃墟
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った。

「お、おう、俺も今からそっちに戻るぜ」

見栄をはるが、現実では目的を達成していない。

「あ?本当だって本当。見てろよ、絶対持って帰るからな」

会話を終え、それと同時に『諦める』という選択肢も消えた。
携帯をポケットへ直し、改めて廊下の先へ視線を向けた。
先程と変わらぬ闇が広がっている。

「く・・・ウオォォォォ!」

覚悟を決して、その廊下を踏みつけた。止まらず、そのまま奥へ突っ走っていく。
奥には灯りが無く何も見えない、だが、こんな場所で立ち止まっていれば精神がどうかなりそうで止まれない。
何か適当な物を持って帰ればいいだけなのだ。ならば、適当に見つけた物を掴めばいい!
と、思っていた瞬間、急に足元から感触が消えた。

「あッ!?」

思わず驚きの声を張り上げた。
体が倒れていくのが分かるが、地に着く様子は無い。深い穴を落ちているような錯覚を覚える。
いや、実際に落ちているのだろう。滞空時間が長すぎる。

(は、ははっ、どんな高い場所から落ちてんだろうなー、俺。そうだこれは夢だ。夢夢夢夢)

というか夢であって欲しい。
そうだ、この風切り音も夢だしこの企画も夢。
・・・という愉快な妄想は、一瞬にして脳内から消え去った。
背中に凄まじい衝撃が走る。まるで背中にハンマーを思い切り叩きつけられたような、そんな痛みが全身を蝕む。

「あァッッ!?」

肺に残っていた空気が強制的に吐き出される。
なんとか空気を肺に取り入れようと口を動かすが、まるで入ってこない。
立ち上がろうともするが、まず足に力が入らない。
白黒と点滅する視界のまま、ゆっくりと顔だけを動かした。
コンクリートに囲まれた部屋だろうか、白黒で上手く分からないが、あまり掃除されていなさそうな空間に自分はいる。
状況を確認していると、突然背後から音が聞こえた。扉を開けたような音だ。
ペタ、ペタ、と裸足で地面を踏みしめる音が少しずつ近付いてくる。
その音のする方へ顔を動かしてみるが、暗闇が広がっており、その方向は何も見えない。

「・・・そこで何をしているの?」

唐突に聞こえてきたのは、幼い少女の声だった。

「咲夜のいれた新しいおやつ?でも違うかなぁ、今まで生きたものを入れてきた事なんてないしね」

その暗闇に七色の光が灯った。宝石のような形のその光は、暗闇でゆらゆらと動いている。

「だったらオモチャかな?んー、でも違うかなぁ」

赤い目が暗闇に浮かび上がる。

「ねえ、貴方はなに?オモチャ?おやつ?」

ゆっくりと、物騒なことを言いながら近付いてきた『ソレ』の姿が、少しずつ暗闇に浮かび上がってきた。
その少女は、真紅をイメージされた半袖の服とミニスカートを着用しており
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