第二十七話 彼氏彼女の事情
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スピーチのお題は“オペレータの心得”である。
エックスも似たようなことをしなくてはいけないために、内心苦笑していた。
エックス「お疲れ様」
エイリア「ありがとう」
エイリアは疲れていたが、エックスの一言で笑顔となる。
最初の頃はかなりとっつきにくかった彼女は、今ではこんな柔らかい表情を浮かべている。
彼女の笑みに年上の女性の美しさを意識した。
一応製造年は自分が遥か先を行くが、二十代前半に設定された彼女の容姿は青年型のエックスには眩しく映る。
エックス「コーヒーを飲むかい?」
エイリア「頂くわ」
エックスはエイリアを隣の椅子に座らせるとコーヒーを入れた。
湯気立ち上るカップが2つ。
うち1つを取り、エイリアは目を細めた。
エックス「(後で砂糖とミルクを用意しておかないとな)」
ルインがここに来るだろうから、甘いカフェオレを作って待ってようと考えたエックスはエイリアの隣に座る。
エックス「スピーチの準備は終わったのか?何だか忙しそうに見えたけど…」
エイリア「何とか、色々考えたんだけど、もう話すこととか決めたし」
エックス「そうか」
コーヒーを飲むと苦くて柔らかい風味が口の中に広がる。
初めてコーヒーを飲んだ時は、この味に感動したっけ…と昔を思い出しながら天井を仰ぐ。
エイリアはカップを両手で包んだまま、寂しそうな顔をしていた。
エックス「どうした?」
エイリア「ん…」
彼女はふっと遠い目をする。
胸に痛みを抱いて、無理に隠している表情である。
エイリア「私も先輩になるんだなって。アイリスもいるけど後輩が2人もいて、上手くやっていけるのかなって…大丈夫かな、私」
エックス「……」
思わず沈黙してしまうエックス。
脳裏に隊長に就任したばかりの自分の姿が通り過ぎる。
大戦後、彼は精鋭部隊隊長に就いたわけだが、最初は不安で仕方なかった。
シグマを倒した功績があっても自信が持てなかった。
しかしあの頃はハンターも少なく、シグマの残党も多くいたから、悩んでいる暇もなかったのが実際だが…。
エックスが隊長としての自信を得たのは、2度目の大戦を制して友を取り戻した頃である。
そしてルインも帰ってきて、ようやく自分は1人ではないと実感出来たからエックスはここにいる。
そして…。
エックス「(君もいてくれたから…)」
彼女がルインと共に自分を支えてくれたから、今の自分がいる。
エックス「大丈夫だ。君ならやっていける。」
その力強い声にエイリアは息を呑んだ。
エイリア「エックス…」
エックス「俺は君を信じている…エイリアなら大丈夫だって、今までどんなことがあっても乗り越えてこれたじゃないか。自信を持っ
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