暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
相談事
[7/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
じ勢いで舌を巻く。こんな受け止め方があるとは思いも付かなかった。たしかに、上段からの一撃を受け止めるにはこれ以上の安定した防御行動はないだろう。白羽取りなどは、あくまでも大道芸の一つだ。

そこで驚愕する巫女は、ある一つの事実に行き当たる。

己と少年の間にある絶対的な差。すなわち、肉体的数値(ステータス)の違いを。

あの世界の神たる存在の手によって直接、筋力値(STR)敏捷値(AGI)も最高レベルに達しているカグラに対し、眼前の少年の能力値構成(ビルド)はバリバリの敏捷値一極型だ。つまり、彼のアバターには圧倒的な速さを持ち合わせていても、鍔迫り合いで押し勝つほどの力強さは存在しないのである。

よって。

グン、とカグラが少し力を込めただけで、体勢が大きく動く。ギシギシ、と少年の肘や膝から異音が聞こえてくるような気さえする。

―――押し

「勝てると思った?」

至近距離で放たれた言葉の意味に背筋を震わせる暇も与えずに、今度はレンのほうから体勢を動かす。

交差した腕を、思いっきり右方向にねじるように。

「――――ッ!!!」

マズい、と。

巫女は歯を食いしばりながら己の体勢を戻そうとするが、もう遅い。

押し潰そうと下向きに力を込めていたことも災いし、カグラの長身は前につんのめったような形となり、レンの隣に倒れこもうとする。

だが、ダメ押しとばかりに少年の、交差の解かれた両腕がカグラの白衣の胸元をがっしりと掴み取る。

世界が回った。

綺麗な背負い投げで草地の上に転がされたと気付くまでに、五秒ほどの時間がかかった。そこから負けたという事実に至るまでに、さらに十秒の時間を有する。

首元に突きつけられた手刀を知覚しなくとも、敗北した事実に変わりはない。

魂まで一緒に抜け落ちそうなため息とともに、カグラは草地の上に脱力する。

「んっふっふ〜、『受け止められない事を前提に計算されたこの抜刀術は、受け止められたときに対する対処がまるでない』。まだまだだねぇー」

「精進します…………」

どこから取り出したのか、古めかしい煙管をスパスパ吸って紫煙を曇らせながら、少年はからからと明るく笑う。その声にいかめしい覚悟などは一切なく、カグラは先ほどとは意味合いの違う吐息を吐き出すことになった。

そのままカグラは、ALOの空を見上げる。

現実と流れる時間の違うALOでは、今はお昼の三時ごろといった具合か。現在《浮遊島》は猫妖精(ケットシー)領の近く、大陸と切り離された島国のケットシー領と大陸とを繋げる唯一の橋《ログ・ブリッジ》上空に差し掛かっているところだ。

基本的に《浮遊島》はラジコンではないため、行く先はコントローラで操作できるものではない。あく
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ