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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
相談事
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。だが、そこで起こっているであろう現象を、少年はありありと想像できてしまった。

そもそも、先ほどカグラは『どこで抜刀した』?

頭の上、すなわち上方だ。

そして世界にはある一つの絶対法則がある。

すなわち、重力。

どこかのフワフワ頭の白髪のオッサンが言うまでもなく、リンゴは何もしなくても下に落ちる。これは宇宙空間に脱出しない限りついて回る、普遍的な現象だ。

それを、利用する。

「――――ッだからって………!!」

そう、口で言うのは簡単だ。

しかし、けん玉なんかとは違う。鞘の入り口というのはまさしく、刀を納めるためだけに存在する。滑らかに収まるために多少の余裕はあるが、基本的に異物が入らないようにするために刀身の大きさに沿って製造されているのだ。

それを、『上方で抜刀した鞘に振り払った後に刀身を再び納める』なんて。

眼を見開く少年を嘲笑うように、巫女は静かに、ポツリと呟くように宣言する。

「下段抜刀」

大口径の散弾銃(ショットガン)でもブッ放したような轟音が鳴り響いた。音速を超えた居合い斬りが空気を分厚いゼリーのように引き裂いた結果に生じたソニックブームが巻き起こす際に発する音だ。

いくら遅いとはいっても、まだレンは拳底に使った右手を引き戻してもない。油断はしていなかったつもりではあった。だがさすがに、『これ』は予想の範囲外だった。

自分の口角が引き上がるのを止められなかった。

一瞬でまざまざと見せ付けられた可能性。それに対して、純粋に歓喜している自分自身に少年はまだこんなトコが残ってたのかと意外に思う。

頭上から左下。それは逸らせた。

次撃は、左下からの右。

「く………ぉッ!」

左手を加速させる。再度強い擦過音とともに跳ね上がってきた斬撃をどうにか逸らせたが、さすがに予測もまったくできなかった一撃を完璧に対処できるほどカグラの実力も甘くはない。逸らせたが、その軌道は決して平時とは違って綺麗なものとは言い難かったし、実際決闘(デュエル)状態であるレンのHPが決して低くない数値減少した。

手のひらから嫌な衝撃がビリビリと伝わり、眉が思わずひそめられる。

だが、しのげた。

そう、安堵とも言えない小さな吐息を少年が吐き出したところで、事態はさらにその上を行く。



()()()()



「う……そ、でしょ――――ッッ!?」

驚愕に再度眼を見開くレンに対し、やはり返ってきたのは冷徹なまでの呟きだった。

「中段抜刀」

右から、上へ。

脇腹から肩までが真っ二つになる軌道を逸らせる両手は二つとも使用済み。クロスした両腕を、ここから引き戻して逸らせるか。

いやいやいや
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