暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
相談事
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をするのをどうにか堪えた。眼前に佇む少年には、隙と呼ばれるものが全くといっていいほど存在していなかった。

レンは腹立たしいほどに落ち着き払い、鼻歌でも歌いだしそうなのんきさで空を仰いでいる。

「んー、ごめん。言えない」

「そう……ですか」

理由を言えない。

わざわざするコンバート。

何かあるのは確実だ。そして、そこに危険が伴う事もまた確定事項。

見上げていた顔を下ろし、こちらに向けた彼の顔は笑顔だった。笑顔が張り付いていた。

「さて、ウィルにーちゃんに教えてもらってる《多刀流》はどれくらい習得したのかな?」

レンの言っている事は、カグラがあの世界樹での一件直後あたりからしている修行の事だ。

あの世界樹で己の力のなさを、しばらくの間心意強度が弱まるほど魂に刻み込まれたカグラは、わざわざALO運営に顔が利くリョロウに頼み込んでフランスまでの抜け道ゲートを開通させ、フランス陸軍に所属する《夕闇の化神》ウィルヘイムことウィルヘイム=シュルツに【風魔忍軍】の最奥の技術《多刀流》を半ば脅して教授させ……………いや、あくまで合法的にご教授願っている。だが、それもレンとマイのどちらにも苦労して秘密にしていたのだが。

この野郎、なぜ知ってやがる。

だがそんな事を言えるはずもなく、カグラはせいぜい不敵に笑う。

「……………こうはいしますよ」

噛んでしまった。

「え?何?交配?」

「こ!後悔しますよ!!」

怪訝げな言葉を無理やり上書きする勢いで叫び、緋色の巫女は腰に据えられた漆塗りの鞘を手に取り、そのまま頭上にまで持ち上げる。ハテナマークを掲げる少年の目の前で、《冬桜》の刀身が静かに鞘に収まった。しゃりん、という涼やかな鍔鳴り音。

ピリピリ、と。

痛いまでの殺気が空間に漂い始める。

「上段抜刀」

ゴン!!という空気が切断される恐るべき音とともに大上段からの一撃が少年を襲う。

なんだかんだ言って同じ一撃か?と眉をひそめる少年は、それでも再度拳底で斬撃軌道を逸らす。だが、カグラの居合い斬りは先ほどとは違い、地面ギリギリを掠めて振り払われた。

だが、それだけだ。特に何も起こらない。

今度こそハテナマークで胸中を埋め尽くしたレンは、とりあえず反撃しようかと三度拳底の形に手のひらを整える前に、『ソレ』は起こる。

「…………な」

いや、聞こえる。

しゃりん、という()()()()()()()()()()()()()()()が。

思いっきり振り払った結果、大太刀の刀身はそっくりそのまま女性にしては長身なカグラの身体の後ろに隠れてしまっている
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