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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
相談事
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器全般は、その長所であるリーチの長さが同時に短所となることがある。射程距離とは、その武器が正しく機能する距離の事である。有効範囲、と言ってもいいかもしれない。これは逆説的に言えば、その範囲外での戦闘になった場合、その武具のポテンシャルは著しく減少する事になるのだ。
だがそれはカグラとて、否、一般常識だ。異様なのは、それを踏まえた上でなお、カグラという普通以上の強者が、徒手空拳が一番有効で大太刀が一番使いにくい距離にまで肉薄されているという事実だ。
―――ッ!よくここまで………!!
かつて、あの城で相対した時は、ここまでになるとは欠片ほども思っていなかった。しかし今、あの地べたに這っていた(そうしたのはカグラ自身なのだが)少年が、手出しもできなかった自分の一撃に悠々と対応するのは、少しばかりの寂寥感を伴った不可思議な満足感をカグラに与えた。
しかし、それをしかめっ面で押し潰し、無理やりにでも距離を取る。ずざざっ、と足元の草を刈り飛ばしながら退く緋色の巫女を、しかし紅衣の少年は追いかけない。
ダラリ、と。
力を抜いて、どこかのほほんとした表情で、身体を弛緩させている。しかしこれは、別に気を抜いているのではない。
自然体。
人間という、知性ある生物と敵対する際、その行動のおおよその予想はついても、その完全な予測はできない。単純なヘイト値の増減に基づく単純明快なアルゴリズムは話は違う。あれは攻略法や対処法が確立されるほどにまで予測がつけられる。
しかし、知性は違う。こちらがあちらの出方を予測しているというのであれば、あちらもまたこちらの出方を予想しているのである。
防御に見せかけての突進。
突進に見せかけてのカウンター。
その選択肢は広く、その裏をいちいち予測していたらキリがない。
では対人戦での明確な必勝法とまでは行かないまでも、勝率を上げる方法はあるのか、と問われれば、その答えは存在する。
だが、その理論は単純だ。
双方が予想しあうから、戦闘というものはここまで複雑化する。ならば、こちらから相手に渡る情報を限りなくゼロに近い形にすれば簡単になるのではなかろうか。
その、子供みたいな理論を推し進め、さらに実践に即したように特化したものが、レンが繰る構え《自然体》である。
回避も防御も、基本的には相手の攻撃の軌道予測が成り立って初めてできる事だ。それが限りなく薄く、そして読みにくいこの構えは、はっきり言ってやりにくい事山の如しだ。
太刀を正眼に構え、乱れた呼吸を強引に直し、カグラは口を開く。
「その、理由とは?」
会話中というのは、人間の本能というか性質的に、どうしても意識を裂きがちな分かりやすい隙である。だが、油断なく目を細める巫女は音高く舌打ち
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