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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
41.神意の悪意
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 轟音が鳴り響く。大気が引き裂かれる。島が軋む不快な音を立てながら振動する。
 今にも沈みそうな十三号増設人工島(サブフロート)の上で爆発的な二つの魔力の塊が激突する。それはぶつかり合うたびに衝撃波を生み出し、辺りを崩壊させていく。
 これが神々の名を冠す者たちの全力の戦いなのだ。
 容赦なく襲いかかってくる衝撃波に耐えながら逢崎友妃は目の前の茶髪の少女を睨みつける。
 彼女も耐えるのに精一杯のようだが、それでもなおこちらへの敵意だけは消えていない。しかしその敵意にはどこか迷いが感じられた。

「どうしてあなたはあの男に手を貸すの?」

「………」

 少女は口を開かない。
 だが、友妃は見逃さなかった。友妃が問いを訊いたとき、わずかに彼女が視線を下に落とした。それは迷いが見られる証拠なのだ。
 やはり彼女は戦うことを望んではいない。
 そうならば、彼女とは武力ではなく話し合いで解決することがかもしれない。

「ボクには、あいつの計画がなんなのかはわからない。それでも彼が行うとしてることが間違ってるのだけはわかるよ! なんでそんなやつに手を貸すの!」

「……黙ってください」

 茶髪の少女が小さく口を開いた。

「あなたに私のなにがわかるって言うんですか。立上さんのなにがわかるって言うんですか!」

 吹き荒れる暴風に逆らい少女の叫びが響いた。それは心からの叫びのように聞こえた。
 その問いに友妃はなにも答えられない。なぜならなにも知らないからだ。彼女のことも立上のことも友妃はなにも知らない。
 ならばこのまま拳を交えてもいいのだろうか?
 先ほどとは違うわずかな迷いが友妃の中に浮かび上がった。
 その瞬間だった。少女が動いた。

「若虎──ッ!」

 反応が完全に遅れた。もはや回避ことはできない。一瞬で迷いを振り切って、右手で拳を固め、呪力を纏わせる。そして飛来する少女の右の掌底へと激突させる。

「紅蓮──ッ!」

 若き虎の牙と紅蓮の刃が激突し、大気へと魔力が放出されていく。
 わずかに押し負けた友妃の身体は後退させられる。

「あなたを倒して私は立上さんを……」

 そこで少女の言葉が止まった。迷いの現れなのだろうか。それとも別の理由が……
 そのときだった。今までに感じたことのない悪寒が身体を走った。

「なっ……」

 視界に映った光景に言葉を失った。
 暗闇が覆う漆黒の夜空を大量のなにかが蠢いている。それは十三号増設人工島(サブフロート)から夜空を覆い隠すほど。
 それの正体に気づいたときには、友妃にできることはもうなかったのだった。




「吹き飛ばせ、アテーネッ!」

 黄金の翼が羽ばたき飛来する無数の蛇の群れを
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