第一章 小問集合(order a la carte)
第六話 命の分水嶺
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ラスは血の涙を流す生徒たちであふれかえっていた。
一番近くにいた、何とか顔と名前が一致している男子に声をかける。
「どうしたのですか? 須川君」
「どうもこうもない、聞いてくれよ妃宮、いや是非聞いてください!!」
聞けば、昨日から明久が姫路さんにお弁当の約束をしていて、その約束履行に屋上へ移動したとのこと。
土屋や坂本、秀吉までも一緒というのに自分には一口もくれないとのこと。
「こうなっては我々に残るは妃宮の手弁当のみ!!」
「そう言われましても、あげませんからね?」
面倒なのでばっさり切ると途端におとなしくなった偽紳士達。
ナンパ男もこの程度で引っ込んでくれたら対処も楽なのに。
女装をしていないのにナンパを仕掛けてこられるという、男としては泣きそうになる事態を思い浮かべながら、ただの屍と化しつつあるクラスメイトたちを放置して、僕もお弁当を持って屋上に行くことにした。
屋上のドアを開けるとムッツリーニ君が痙攣しながらも、何とか自身の両の足で立っていた。
「土屋よ、そう言えばお主夜が遅かったと聞いておったの。どうじゃ、少し寝てはどうじゃ。」
その言葉が終わるかどうかの所で、ムッツリーニはばったりと床に倒れた。
まるで、操り人形の糸が切れたかのように。
先客達、吉井に秀吉、姫路さんを順に見回しながら、彼らの近くに座る
と、後ろから坂本と島田さんが屋上に上がってきた。
「おっ旨そうだな。」
そういって僕たちの真ん中に置かれている重箱の中から、ひょいっと卵焼きを掴み口にほり入れた彼は次の瞬間、コンクリートの地面に頭から倒れ、したたか打ちつけていた。
「雄二!!」
「坂本、しっかりするのじゃ!」
声をかけられるとさも何事も無かったかのように、よろめきながら起きあがる。
「すまない、階段を駆け足であがってきたせいで足がつったらしい。」
坂本が倒れた理由、そしてムッツリーニが眠り始めた理由は恐らく……
見た目麗しき姫路さん手製の重箱。
事情を察している生存者は僕のほかには、吉井と秀吉のただ二人。
姫路さんはずっと嬉しそうに笑っている。
絶対に自分の料理が人を瀕死に追いやっているとは、欠片も思っていないだろう。
どうするべきかと思って秀吉をみれば……。
「島田よ、そういえばさっきそこで明久が虫を潰したのじゃった。」
「え、そういうのは先に言ってよ」
「すまぬ、忘れておったのじゃ。」
島田さんの安全圏への誘導をしていた。
一方の吉井は……
「姫路さん、あれはなんて言うの?」
「えっ、何のことですか?」
「今だ!!」
「むごっふ?!!」
友を殺っていた。
ならばFクラス参謀としての役割は……
「姫路さん、吉井君が聞いているのはきっとあれのことですよ。」
「えっと、どれの
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