DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十三話
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事が、シャノンにも起きている可能性がある。
シャノンの精神は不安定だ。自負心の塊だ。「自分が強い」と思っている人間ほど、マインドコントロールを受けやすい。加えて、シャノンは《主》と同じ顔をしている。つまりは…程度は分からないが…彼は《主》に近しい存在なのだ。
《主》の強い干渉を受けていても、何ら不思議なことはない。
『まぁ、似た様なものかな』
――――その時、その声が響いた。
『やぁ、セモン。目を覚ましたんだね。ちょっと残念だよ』
「《主》……!」
『ハザードにコハク、それに僕の触覚に刹那までいるのか……待ちたまえ、今開けるよ』
まるで友達を家に招待した時のような砕けた口ぶりで、《主》は声だけをこちらに届かせる。直後、シャノンがあれだけ叩いても傷一つつかず、全く開くそぶりを見せなかった扉が、あっさりと開いた。
真っ先に駆け込んだのはシャノン。追随して刹那。彼らを追って、セモン、コハク、ハザードの順に中に入る。
《玉座》の光景は以前とは違うものだった。
広い。以前も非常に広い空間だったが、今回はそれを余裕で凌駕する広さだ。天井が見えない。中央に敷かれた紅蓮いカーペットを伝って言ったその先に、あの純白の《神》が座していた。
「何だと……」
「本当に、シャノンと同じ顔……」
ハザードと琥珀が呆然と呟く。
その声を聞いて、《主》はにやり、と嗤った。
「初めまして、そして久しぶり。ようこそ《白亜宮》へ。ハザード、コハク、セモン。そして僕の代替と、刹那」
代替――――身代わり。スペア。
その言葉に、セモンは言い知れない嫌悪感を抱いた。以前も思ったが、どうやらセモンはこの《神》とはそりが合わない。親友と同じ顔をしているからだろうか。
「代替……だと……!?」
憎悪あらわに怒鳴ったのは、シャノンだ。自らのを貶められたと思ったのだろう。彼は双巨剣を抜き放つ。
「ふざけるな! 僕は唯一だ! どうして君が僕と同じ顔をしているのかは知らないが、それは絶対だ!」
だが《主》はその言葉に苦笑して、首を左右に振った。
「唯一?いいや、違うね。そもそも、《この世》というありとあらゆるところに、絶対の《唯一》など存在しない。なるほど、僕は確かに自分が唯一絶対の存在だと思っているが、もしかしたらどこかに僕と同等の力をもった《神》がいるかもしれない――――まぁ、塗りつぶすだけだけど」
そうして彼はシャノンから目をはなし、セモンを見る。
「やぁ、セモン。おめでとう、君は呪縛に打ち勝った。これは素晴らしい事だ――――今まで呪縛に耐えられた人間は二人しかいないんだよ。《ユニット》の分際で耐え切ったのは、君だけだ
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