魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方1
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あの嬢ちゃんは……』
何かを言いかけ、口ごもってから舌打ちした。
「あの……」
そこで口を開いたのはユーノだった。
「光さんに連絡を取るなら、なのはがいったん家に帰るのが一番早いんじゃないです
か? そうすればさすがに気づくでしょうし……」
『それができりゃそうしてえけどな。残念ながらそうはいかねえ』
「え? 何で……あ、そっか! ジュエルシード!」
『そう言う事だ。管理局の連中は間違いなく張ってるだろうし、件の魔導師……母親に狙われりゃただじゃ済まねえからな。帰らねえ方が得策だ』
それはそうだ。あんな雷を撃ちこまれたらいくらお父さん達でもただでは済まない。
(あれ? でも……)
ふとした疑問。家に帰っちゃいけないなら――
「私はこれから、どこにいればいいの?」
というか、どこで寝ればいいのだろう。もちろん、他にご飯の問題もある。
『ここだな。寝床と水、保存食の類は用意されているし……まぁ、逃亡生活としちゃ贅沢できるだろうさ。ヒャハハハハッ!』
「うう……」
取りあえず呻いておく。まぁ、着の身着のままその辺で野宿しろと言われないよりは遥かにいいのだろうけれど。
『何、心配するな。精々が今日と明日くらいなもんだ。……どの道、相棒には時間がねえんだからな』
「うん。分かってる」
だから絶対。絶対に光を見つけ出さなければならないのだ。
3
(ここ、は……?)
霞み明滅する視界。掠れて言葉を発する事さえできそうにない身体。それに鞭打って状況を把握しようと足掻く。
(戻って、これ――た……?)
少しでも何かしようとすれば、そのまま意識を失いそうになる。だが、手掛かりを得た。自分自身の血の匂いに混ざって、新鮮な緑の匂いと煙たい排気ガスの匂い。どちらもあの場所には縁がない匂いだった。そして、最後に――潮風の匂い。
おそらく、だが。今アタシは海鳴市という街のどこかにいるはずだった。この街のどこかに、必ず光もいる。
(見つけないと……。アイツなら、きっと……)
管理局すら歯牙にかけなかったあの男なら、きっとあの怪物だって倒せる。……フェイトを救ってくれるはずだ。空っぽの身体から魔力を絞り出し、拙い回復魔法を唱える。
ダメージはこの上なく深刻だったが――それでも、しばらくは誤魔化せるはず。
「くぉ……のッ!」
渾身の力を振り絞って、何度も何度も無様に地面を転がって、近くにあった木に縋りつきながら、ようやく立ち上がる。
「カフッ!」
血の塊を吐き出す。その衝撃だけでまた倒れそうになった。だが、踏みとどまる。こんなところでいつまでも寝ている暇などない。
……が、別の意味での限界にまでは耐えられなかった。地面が近づいてくる錯覚の中で、それに気付く。
(ま、こっちの方が――都合
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