魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方1
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て可能性を吟味しつくした推論である。
(となると、『主犯者』は正体は……)
推論そのものを根底から否定する意味はないし――そもそもできる訳もない。考えなけれならないのは、その先だ。
(あの子に自主的な協力を要請できる相手という事ね)
自主的というのは文字通りの意味だ。脅迫を介するものではない。御神光はともかく、あの子達はほぼ間違いなく管理局を知っている。無許可でのロストロギアの回収が違法である事もだ。どこまで正しく理解できているかはともかくとして、
(あの子達を積極的に犯罪に誘導できる存在は誰?)
考えるまでもない。最も高い可能性はただ一つ。つまり、
「『主犯者』はあの子の保護者、あるいはそれに相当する誰かという事になるわね」
「はい。もっとも、保護者と呼んでいい存在だとは思えませんが」
吐き捨てる様に、クロノが言った。あの次元跳躍攻撃は、明らかにあの少女を射程にとらえていた。しかも、あの局面で撃ちこんでくる理由はない。そんな事をしなくても、私達は完全に出遅れていたのだ。私達の想定より明らかに少ない消耗で六つものジュエルシードを封印し、しかもあの状態であってなお御神光はクロノを相手に一歩も引かなかった。いや、それどころか圧倒するだけの余力があった。そこに加えて高町なのは、ユーノ・スクライアの離反だ。私達がジュエルシードを確保できる可能性など、ほぼゼロに等しい。そして、
(あの時、なのはさん達はあの子に語りかけていただけ……)
あの娘達も、ジュエルシードなど狙っていなかった。
ジュエルシードの影響で、全ての音声を聞き取れた訳ではないが……それでもその部分だけははっきりと聞こえた。
『あなたと、友達になりたいの』
高町なのはの呼びかけをかき消すために……それが気に入らないと言わんばかりに、あの一撃は撃ちこまれた。そう思えてならない。
「…………」
これでも一児の母だ。正直に言えば、自分の娘に対してあんな仕打ちができる相手の気が知れない。艦長である以上は、常に冷静であるように。長年そう努めてきたところで私も所詮は感情を持つ人間に過ぎない。苛立ちを消す事はできそうにもなかった。その苛立ちには私自身に対する苛立ちも含まれている。
「御神光を蝕む『魔物』。それが目覚めた原因も、あるいはその辺りにあるのかもしれません」
つまり、私達はこの事件への介入方法を誤ったのだ。ジュエルシードや御神光を蝕む『魔物』ばかり目を取られていたが、この事件の本質はもっと別のところにある。それに気付けなかった。
「私もやきが回ってきたかしらね」
そのせいで取り返しのつかないものを失ったかもしれない。足がすくむような思いで、それを認める。だが、今は後悔するべき時ではない。それは全てが終わってからだ。どうせ二日間は身動きが取れない以上、今
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