ゆり
三本目
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だから、大丈夫と言って良いのか、悪いのか・・・」
「悪いオバケだけど、その人に悪い事しないってこと?じゃあ悪いオバケじゃないね」
「そう・・・そうなんだけど、事はそう単純でもないと言うか・・・僕には判断がつかない」
「でも悪いことないんでしょ?そしたらきっと大丈夫!よっし、ゆりちゃんも大丈夫、その人も大丈夫、これで一件落着って感じだね!」
山下はスッキリした顔で笑った。しかし青山は首を振る。
「一件落着、じゃないよ。日紅にはこれからお説教」
「えーっ、なんで!?」
「なんで、じゃないよ。僕がどれだけ心配したと思ってるの。どうして勝手に行ったの?僕が行くから、大人しくしてて、って言ったよね?ストーカーは男だよ?上手くいったから良かったようなものの、そうじゃなかったら・・・わかってる?」
青山は、ゆりを追うストーカーに勝手に日紅が飛びかかったことを言っているのだった。
「うう・・・でもゆりちゃんが・・・」
「友達が心配なのはわかってる。でも、日紅、お願いだから、自分が女の子だって、もっと自覚して。何かあってからじゃ遅いんだよ」
「だって・・・」
「だってじゃない」
くちびるをとがらせる山下に、青山は真剣に説く。それでも山下は不満そうだ。そんな山下に、青山は軽く諦めの息をついて、山下の風に乱された髪を直してやる。
「・・・ところで、日紅」
「うん?」
山下はこてりと首を倒して青山を見あげる。
青山は一瞬だけ、その山下の後方をちらと見る。
「いきなりだけど、黒い着物を着た男の人、に心当たりはない?」
「え、なに?黒い着物着た男の人?」
山下の頭上にはハテナマークが飛び交う。
「もしくは、今までそう言う人を見たことがあったりしない?」
「ええ〜?何?お祭りに行った時とか、そういう黒い着物着た人、いたかもしれないけどさ、そんなのいちいち覚えてないよ・・・」
「そう。いや、いいんだ、わからないのなら」
「何で?」
「聞いてみただけだよ」
青山は彼のファンクラブが見たら卒倒するような優しい笑みを浮かべた。しかし付き合いの長くなってきた山下はそれが青山がお茶を濁そうとする時の表情だと薄々ながら察している。
「清の美貌にも耐性がついてきてるから、そんなので誤魔化されませんよーだ。アヤシイ」
「酷いな、日紅は僕を疑うんだ・・・」
「それも効きません」
「
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