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胸よ大きく
第五章
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第五章

「確かにな」
「そんな人を嫌いになったら。罰が当たるさ」
 こうまで言う。
「それどころか余計に好きになったよ」
「素子ちゃんっていい娘だよな」
 これは純也の言葉だった。
「そこまで御前の為にしたんだから」
「その気持ちは大事にしないと」
「それだよな」
 純也は今度はそれを指摘した。
「御前がそういう奴だからだよ」
「そういう奴って?」
「他人の心を汲み取れるってことだよ」
 彼が今度言うのはそれであった。
「それって凄く立派なことなんだぞ」
「そうかな」
「自覚はないのかよ」
「そういうのは別に」
 首を傾げさせる。どうやら本当にないらしい。
「そうか。まあそれはそれでいいさ」
「いいんだ」
「ああ。まあ俺が言うことはな」
 にこりと笑った。それは高志に向けられていた。
「これからも二人で仲良くやれよ」
「うん」
 高志もにこりと笑って応える。その部活の後で素子が高志のところに来た。
「一緒に帰らない?」
「素子ちゃんがよかったら」
「私は何時でもいいわ」
 それが素子の返事であった。彼女に拒む理由は何もなかった。
「だって。高志君と一緒だから」
「いいんだね、それで」
「それだけでいいのよ」
 そう言って彼の片手に抱きついて。さりげなくだがはっきりとその大きくなった胸をくっつけてきたのだった。高志の手にその感触が伝わる。
(まあいいか)
 本当は好きではないその感触もあえて受け入れる。決して悪い気はしなかった。
(素子ちゃんの僕に対する頑張りの結果だから)
「ねえ」
 それを全く知らない素子は。そのまま胸を押し付けながら高志に声をかけてきた。顔を見上げながら。
「今日はこのまま帰るの?」
「そのつもりだけれど」
 といってもまだ日は高い。遊ぶ時間は充分ありそうだった。
「駄目なの?」
「私の家に寄って行かない?」
 こう言ってすることは一つしかなかった。
「よかったら」
「いいの?」
「いいのよ」
 そう言ってまた無意識を装って胸を押し付ける。彼女にしてみればこれで高志を自分に引き寄せているつもりなのだ。本当は何で引き付けているのか気付かずに。
「私は。けれど高志君は?」
「いいよ」
 高志は明るい笑顔でそう答えた。
「僕もね」
「そうなの。よかった」
 素子は彼のその言葉を聞いて満面の笑みになった。そうしてまた自分の胸を彼の片手に押し付けるのであった。やはり気付いてはいない。
「そう言ってもらって」
「それで今からだよね」
 高志は今度はこう問うた。
「素子ちゃんのお家に行くの」
「ええ、今日お父さんとお母さん遅いから」
 これを知ってのことである。だからこそ彼を家に誘うのだ。
「ゆっくりできるわよ」
「そうだ
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