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スミレの花が咲いて
スミレの花が咲いて
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ある。男達はそれを見て気が強くなった。そして若者に対して言った。
「その娘から離れろ。そうすれば何もせん」
「嫌だと言ったら?」
 若者は彼等を見据えてそう言葉を返した。その目の光は彼等にも負けてはいなかった。
「その時は力づくで返してもらう」
 男達はそう言い返した。そして槍と弓を構えた。
「何が何でもな。さあ」
 彼等は今度は娘に対して言った。
「帰るんだ。御前はその男とは結ばれることはできないんだ」
 若者に対するのよりいささか優しい声であった。だが娘は首を横に振った。
「どうしてだ」
 男達は彼女に尋ねた。
「私もこの方を愛しているからです」
 彼女はそう答えた。
「私ははじめて見た時からこの方を愛していました」
「何っ!?」
 男達はそれを聞いて思わず声をあげた。
「今何と言った」
「この方を愛している、と」
 娘は男達の声にも怯えることなくそう返した。
「何度でも言います。この方を愛していると」
「馬鹿な」
 彼等はそれを聞いて首を横に振った。
「何を言っている。そんなことが出来る筈がないだろう」
「そうだ。敵とは結ばれない。それは御前も知っている筈だ」
「いえ」
 だが娘はまた首を横に振った。
「それはできます」
「できると思っているのか」
「勿論です」
 その声が強いものになった。
「これが証拠です。見て下さい」
「何!?」
 男達はそれを受けて彼女が指差したものを見た。それは若者の首にあった。男達はそれを見て絶句した。
「な・・・・・・」
「これでおわかりでしょう」
 娘は強い目で彼等を見た。
「これが私とこの方の絆です」
「馬鹿なことを」
 男達はそれを聞いて一言そう呟いた。若者の首にあったのは首飾りであった。黒い、娘が自分の髪で編んだ首飾りであった。見れば娘の髪が短くなっている。それが何よりの証であった。
「何ということをしてくれたのだ」
 リーダーである壮年の男は怒りに震える声でそう呟いた。その髪の首飾りは娘が結婚相手に贈るものである。そう、二人はもう夫婦となっていたのであった。既に彼等は心から結ばれていたのである。娘は若者の横で毅然と立っていた。
「御前がそこまで愚かな娘だったとは」
「私はそうは思っていません」
 しかし娘はやはり強い声でそう言った。
「これは私が自分でこの方にお贈りしたものですから」
「自分で髪を切ってか」
「はい」
「ならばいい。最早御前は我が部族の者ではない」
 男はそれを聞いてそう言った。その声はやはり怒りで震えていた。
「死んでもらう。いいな」
「喜んで。それで愛が適うのなら」
「待て」
 だがこ
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