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Element Magic Trinity
師匠と弟子
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(まずは罪悪を購う事から開始しようか。その後は…どこに行こうかな……)

ギルドに未練はない。日の光が当たる場所にいる彼等を見て、自分もそこに立ってみたくなった。
罪を償うのには何年もかかるだろう。闇ギルドの魔導士――――それもバラム同盟の一角を担う程の闇ギルドに所属している魔導士だ。下手すれば十何年…何十年もかかるかも知れない。
それでも、1度知ってしまった光の温かさはそう簡単に忘れられそうになかった。

(いや…罪悪を購い終えた後の事は一決している。全て終わったら…師匠を、今度こそ“師匠”と呼ぶんだ。隣に立って……今度こそ…)

視界がぼやける。襲い掛かるのは睡魔だろうか。
意識を引っ張って離さないそれにパラゴーネは苦笑する。食い止めようとしても、相手の方が力が強いようだ。
だったらそのまま引っ張られてやろうと決めたパラゴーネは、静かに目を閉じた。












――――――――が。



「おい」
「!」

声を掛けられた。
反射的に目を開いて、驚きから更に見開いて、はくりと口を開く。声を出そうにも驚き過ぎて声が追いつかず、ようやく声が出たのはそれから数秒だった頃だった。

「し…師匠!?何故ここに舞い戻った!?」
「舞い戻ったって……んな大袈裟な事じゃねえだろうよ」

パラゴーネの言葉に苦笑したのは、グレイだった。
先ほど出ていったはずの、パラゴーネが勝手に師と仰ぎ慕い師匠と呼ぶ、造形魔導士の青年だった。
ぱちくりと瞬きを繰り返すパラゴーネを見下ろしたグレイはその場にしゃがみ込むと、背中をパラゴーネに向ける。

「……え?」
「早く乗れよ、置いてくぞ」
「う、うむ」

呆然とするパラゴーネに顔を向けず呟く。
いまいち話が見えてこないままグレイの背に乗ったパラゴーネが首に手を回すと、グレイは腕を後ろに回す。
その体勢から立ち上がったグレイは、意外そうに口を開く。

「お前意外と軽いんだな」
「……師匠は私が重量だと思っていたのか?」
「ま、背の高さとか体型から考えりゃこんなモンいででででで!」
「ふんっ」

ひくっと口角を引き攣らせるパラゴーネに気づかず言葉を続けたグレイの頬を、パラゴーネは力いっぱい引っ張る。
パラゴーネは小柄だ。15歳という年齢から考えると別におかしい背丈ではないが、本人は背の低さを気にしているのだ。せめてあと10cmは伸びないかな、と考えているものの、成長はその希望を叶えてくれない。

「つつ……ちゃんと掴まってろよ」

引っ張られた頬が痛むのか僅かに目を細めたグレイは、パラゴーネを背負ったまま歩き出す。
言われたとおりに首に回した手を肩に乗せてコートをくしゃりと掴むパラゴーネは、戸惑うような声色で問う。
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