師匠と弟子
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ていない」
ライアーの肩を借りるクロスの言葉に、サルディアとジュビアは顔を見合わせる。
今ここにいるのは4人。もし今敵がやってきたら、どうやっても太刀打ち出来ないだろう。魔力がある程度回復しているジュビアとライアーはともかく、サルディアがアイゼンフロウを召喚してしまえば一気に狭くなってしまうし、肩を借りなければ倒れてしまうであろうクロスは戦力外だ。
「敵が来ない事を祈るしかありませんね……」
「その祈りを無視してしまってごめんなさいね?」
「!」
ポツリとジュビアが呟く。その声に、答えがあった。
反射的に振り返ると、塔の壁から扉が現れ、キィと音を立てて開く。咄嗟に戦闘態勢を取ると、コツ、コツ、とヒールの音がした。
暗闇の中からクリムゾンレッドの髪が揺れ、女性の姿が目視出来る。
「あなたは……」
「初めまして、かしら。私はシグリット・イレイザー…血塗れの欲望のマスターよ」
突如現れたラスボスとも言える存在に、クロス達は目を見開く。
対するシグリットは特に驚く訳でもなく、目立った武装もなかった。まあ魔導士で武装している者なんて、ライアーのような魔法を使う者くらいだが。
「イレイザーという事は、貴様がアイツの母親か」
「そういう事になるわね」
ひょい、と肩を竦めるシグリット。こんな状態であろうと闘志だけは変わらないクロスの問いにも、表情1つ変えない。
相手は迷う事なく敵だ。だからジュビアが右手に魔力を集中させ、サルディアが小声での詠唱を開始し、ライアーがクロスを支えつつフィレーシアンに手を掛けたのは当然の動きと言えるだろう。クロスも別空間から呼べる限界までの剣を握りしめようとした―――――瞬間。
「あらあら、別に私は戦いに来た訳じゃないのよ?ただ、間違いを正しに来ただけ」
シグリットは、余裕すら感じられる笑みを浮かべて呟いた。
「大火大蛇!」
ミラの手から、炎の蛇が飛び出す。アルカが呟いた通りの詠唱を繰り返す事で、世界の万物を司る元素の1つがその手から形を持って放たれる。
形を作って放つ、という動作は造形魔法に似ているが、アルカはそれを全くの別物だと言う。造形魔法が“魔力に形を与える魔法”であるのに対し、元素魔法は“魔力を元素に変えた上で最も最適な形に作り替える魔法”なのだとか。
イマイチよく解らないが、アルカが“ティアからそう聞いた”と言うのだから、そうなのだろう。
「疾風!」
《げっ、マジかよ!風は炎の天敵だっての!》
向けられた杖の先から、風が勢いよく吹き荒れる。腕を顔の前でクロスさせ防御の態勢を取ったミラの銀髪や紅蓮のドレスがバサバサと音を立ててはためき、脳内で
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