思い出-メモリーズ-part1/半妖精の友達
[4/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だと、起きていた時にはすでに姿がなかった。つまり、テファは一人で人知れずどこかへ出かけてしまった可能性が高い。
しかし、いかに忘却の魔法が使えるからって、虫も殺せそうにない彼女が一人でうろつくなど危険極まりない。また前回のように下卑た盗賊に狙われてしまうじゃないか。
「んなこと言いやがって…本当はお前が姉ちゃんをさらったんじゃねえのか!?」
そう言ってジロッとシュウを睨み付けてきたのは、前々からシュウのことを疎ましく思っていたサムだった。
「サム兄止めて!!」
サマンサがシュウに詰め寄っていくサムを正面から押して止めようとしたが、サムの視線は鋭く研ぎ澄まされた
「俺は前々から怪しいって思ってたんだよ!前に姉ちゃんを盗賊から助け出したとか言ってたけど、本当は姉ちゃんを一緒にさらおうとした奴らの仲間じゃ…」
シュウは、サムのこの一方的で無責任なセリフを聞いて、少しカチンとなって眉をひそめた。
「そうやって根拠も無しに、意味もなく吠えるだけか?」
淡々とした口調と冷たい視線で、シュウはサムを見下ろした。
「大方ティファニアへの独占欲に駆られたうえに、元はよそ者で信用できない俺に勝手な敵対心でも抱いたのだろうが、こちとら迷惑だ。そもそも俺を召喚したのはティファニアだ。その責任は彼女が背負うべきもので、俺が責められる言われはない」
「な、なんだとっ…!!!」
「俺に当たるヒマがあるならティファニアを探せばよかったんじゃないのか?なのにそれさえもしないで口先だけ達者に他人を責めるなど、強がるだけの泣き虫がやることだ」
「っ…!!」
サムは意地を張ってシュウを睨み付けたのだが、言い返す言葉が見つからなくなり、男子寮として使っている小屋に向かって走り、バタン!と扉を閉めて閉じこもってしまった。
「サム兄!」
ジムとジャックが小屋に駆け付け扉を叩いたが、小屋の中から返事はなかった。弟妹たちの前で情けない姿をさらしてしまったのだ。ほとぼりが済むまで彼は表に出てこようとはしないだろう。
「兄、いくらなんでも言いすぎだよ!」
サマンサがかなりキツイ物言いをしたシュウに対して抗議を入れる。
「…あの、シュウ兄」
「どうした?」
話しかけてきたエマを、シュウはいつもの穏やかな無表情で見下ろす。
「サム兄はね、昔テファお姉ちゃんみたいに、お父さんとお母さんのせいで悪い人にさらわれちゃったの。だから…」
なるほど、両親に売り飛ばされた経験のせいで不審人物と見なした人間には簡単に心を許すことができないと言うことか。まあ元々自分が得体の知れない人物だから、信用されなくても仕方のないことだ、心の中で納得した。
「…別に構わない。それよりも重要なのは」
ティファニアを見つけることだ。シュウがそう言うと、サム以外の村の子供たちが集まってきた。
「じ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ