思い出-メモリーズ-part1/半妖精の友達
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を押し付けてくると考えるべきだ。純粋な性格故に、人のことを信じやすくあるテファであるが、自分の出征がハーフエルフだからこそ、警戒すべきところはちゃんとできていたようだ。
その時だった。
「!」
洞窟の奥から、何かクマのような影が見え、闇に光る眼がギラリと光った。それを見てテファは後ずさった。もしや、村の外に出てくるオーク鬼のような魔物が?テファは自分の服の胸元に触れる。杖は…あった。彼女は用心のために、常に杖を胸元に隠していた。ここならわかりやすいし、取られにくい位置にあるからであって、決してちょっとした色仕掛けのつもりではない。
テファはその目から自らの目を離すことはなかった。見ているうちに、だんだんと恐ろしさを感じなかった。立ち上がった彼女は、その光る眼の正体を、岩の影から、なるべく見つからないようにテファは目を凝らしながらその姿を確認した。
やっぱりだ、あの目…よく見たら恐怖を感じさせられるようなものじゃない。寧ろ、温かくて安心できて……そして、懐かしい。
…懐かしい?初めて見るはずものを懐かしいと感じることにテファは戸惑った。
見た目は、クマのように毛むくじゃらの体からあちこち角のようなものが生えた、ゴリラともとれるような、霊長類に似た顔をした、体長2m弱の獣の後ろ姿だった。
「あ、あなたは…!」
思わず驚いて声を上げたテファの脳裏に、幼き日のヴィジョンが流れ込んだ。
それは、テファがまだ8歳以下の子供だった頃のことだった。
人間から忌み嫌われているエルフの血を引くが故に、生まれたときから屋敷に出ることを許されなかった少女、ティファニア。大人しい性格の彼女だが、閉じられた屋敷から外を眺めているうちに、外の世界に対する興味が沸いていた。だからある日、屋敷の敷地にある生い茂る森の草陰にこそこそと隠れていた『彼』に興味を抱いた。私室から抜け出し、使用人や母親に黙ってこっそりと抜け出した彼女は庭に出た。
草陰に隠れたその獣は屋敷の景色や使用人たちの働く姿に集中していたせいか、最初はテファの存在に気づいていなかった。しかし、テファが近づくと、彼はびっくりしてさらに奥の草陰に隠れてしまう。
テファは最初、そのクマのように大きなその獣の姿を見て驚き、怖くなったが、その獣から敵意がないのを感じると、その獣に言った。
「あなたはだぁれ?」
「…ウ…ウゥ…」
テファは知らないが、声を掛けられた『彼』はロバ・アル・カリイエの大地からハルケギニアへ、そしてこの大陸に来るまでの間、人間から冷たくされたことがあったせいか、テファに対しても警戒心を抱いた。
だが、テファはさっきから何もしてこない。草陰からそっと彼女を見てみると、敵意を全くと言っていいほど向けておらず、寧ろ好奇な目で自分を見ていた。
「大丈夫、怖くないよ?」
テ
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