彼と暴力事件
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辺りを見回して海童の方を見た。
「カッちゃん、頑張ったみたいだけど……それでもやり過ぎよ、この惨状」
「う、いや、すまん……」
「でも良くやったわ。うるちさんもお疲れ様。余り活躍出来なかったみたいだけど」
「いえ、私は満足です。目標に一歩近付きましたから!」
「そう?」
一時は春恋に頼りかけていたが、何とか自分達だけでこの件を解決できた。それは、うるちにとっては一歩前進した事に他ならないのだろう。
海童はうるちの見方を今までとは少し変える事にし、組を連れていく為に歩いて行く。
が、その途中で悲劇が起きた。
「ぬおっ!?」
「え?」
地面に転がっていた『ネフィーラ』に躓いてしまったのだ。意外と重く硬かったらしく、出っ張りに蹴躓くが如くあっさり体勢を崩してしまう。
何と怪我をせずに済んだというのに、下らない所でミスしてしったなぁと、それでも悪足掻きでエレメントを集中して地面へと倒れ込み……柔らかい感触が彼の顔に触れた。
「ん……ん!?」
「春恋先ぱ……いっ!?」
「あっ……」
倒れ込んだ先に居たのは……というか顔に触れていたのは、何と春恋の頬。つまり海童は、ラブコメディでは定番であるが、現実ではまず起こり得ない筈の、『こけたと思ったらキスをしてしまった』シチュエーションを見事に再現してしまったのである。
怪我はしなかったが、別の意味で微妙な空気が流れていく。
「わ、悪い! そんなつもりは……!」
「……」
春恋は黙って立ち上がると組に肩を貸し、無言で歩いて行く。怒らせてしまったかと謝り方を必死に考えていた海童は……背後に殺気を感じて振り向いた。
「お〜やま……かいど〜……!!!」
「うげっ!?」
「くらいされせやあああっ!!」
「お、おことわりだああっ!!」
鬼神の如き形相で次々と『ペルセウス』から“消えゆく星の輝き”を投擲し、海童は必死に衝撃破の拳で迎撃する。
結局、この場は海童が破壊する前よりも更にぶっ壊れてしまうのであった。
「何なのアイツ……滅茶苦茶じゃない……」
「類を見ない強大な力だね、成長する前からアレなら更に厄介な事になりかねないかな」
「ま、結果的には天谷の『ムラクモ』は見れていないし、成果は無くは無いけど微妙な所ね」
「もうすぐ彼女等が来るらしい……時が来るまではもう少し大人しくしていよう」
「は〜い、お兄様」
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「ふむ、なるほど。あの小さな地震はやはりお主の仕業じゃったか、海童」
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