彼と暴力事件
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ったのだ。
「さて、君も中々強くて良いけども……そろそろもっと上の人物を呼んでもらえないか? 特に天谷春恋だな、私は彼女に最も用があるのさ」
海童は考えた。
大分癪だが敵の言い分に乗って今自分が持っているビーズ大の水晶を砕き助けを求めるか、それとも自分一人だともまだ諦めず正気を見つけるのか。
相変わらず隙を見て『ネフィーラ』を自分だけでなくうるちへも放ってくる組の攻撃を弾きながら、海童はどちらがより最善か、どちらを実行すべきか考える。
(いや、考えるまでも無い……下らない意地を張るよりここは……)
「やめて!」
「うっ!?」
ビーズを潰そうとしたまさにその瞬間、うるちが大声を上げソレに驚いて海童はビーズを落としてしまった。後方の手の届かない場所へ転がっていくビーズをちらと見てから、海童はうるちの方を向く。
「水屋! お前なんで―――」
「ごめん……でも、お願い」
「!」
うるちの表情は真剣そのものであり、そこから海童は少しだが感じ取った……うるちの持つ春恋への強い尊敬の情と、迷惑をかけたくないという思いを。
勿論、彼女のそれも単なる我儘にすぎず、ある意味では意地を張っている事に他ならない。
が、自分の文のビーズは手の届かない位置にあり、うるちはビーズを潰す気など無い。
(こうなったら……一か八かの勝負に出る!)
それを踏まえて……海童は即座に作戦を考えて、腹を決めうるちへ言い放つ。
「何かあったら一緒に土下座しろよ水屋!」
「あんたと一緒は嫌よ! 何があっても!」
彼女はそういうが、うるちも海童の覚悟は感じ取ったか、今この時だけは軽い冗談の様な雰囲気で言い放っていた。
「何だか知らないけれど……如何やら呼ぶ気は毛頭ないみたいだし、一人の水晶はあっちに転がっちまって手が届かない……なら! そっちを痛めつけさせてもらうよ!」
言うが早いか組はうるちへ急接近し重なる様に立ち、ヨーヨーを模した形状を活かして勢いを付けた『ネフィーラ』を、空気を切り裂き唸り声を上げさせながらぶつけてくる。
このまま衝撃波を放てばうるちを巻き込んでしまうが、中途半端なモノを放ってもうるちのビーズを奪われてしまうだけ。
組の顔に、勝利を確信したかのような笑みが浮かんだ。
そしてうるちが衝撃に備えるため目をつぶった―――――――刹那、
「どぉらあああっ!!」
「う、わああっ!?」
「ちょ、うええええっ!?」
何と驚くなかれ、海童が気合い一発叫んだ瞬間、地面が隆起し二人とも空中へ思いっき
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ