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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼と暴力事件
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ったのだ。



「さて、君も中々強くて良いけども……そろそろもっと上の人物を呼んでもらえないか? 特に天谷春恋だな、私は彼女に最も用があるのさ」



 海童は考えた。

 大分癪だが敵の言い分に乗って今自分が持っているビーズ大の水晶を砕き助けを求めるか、それとも自分一人だともまだ諦めず正気を見つけるのか。

 相変わらず隙を見て『ネフィーラ』を自分だけでなくうるちへも放ってくる組の攻撃を弾きながら、海童はどちらがより最善か、どちらを実行すべきか考える。



(いや、考えるまでも無い……下らない意地を張るよりここは……)

「やめて!」

「うっ!?」



 ビーズを潰そうとしたまさにその瞬間、うるちが大声を上げソレに驚いて海童はビーズを落としてしまった。後方の手の届かない場所へ転がっていくビーズをちらと見てから、海童はうるちの方を向く。



「水屋! お前なんで―――」

「ごめん……でも、お願い」

「!」



 うるちの表情は真剣そのものであり、そこから海童は少しだが感じ取った……うるちの持つ春恋への強い尊敬の情と、迷惑をかけたくないという思いを。

 勿論、彼女のそれも単なる我儘にすぎず、ある意味では意地を張っている事に他ならない。


 が、自分の文のビーズは手の届かない位置にあり、うるちはビーズを潰す気など無い。



(こうなったら……一か八かの勝負に出る!)



 それを踏まえて……海童は即座に作戦を考えて、腹を決めうるちへ言い放つ。



「何かあったら一緒に土下座しろよ水屋!」
「あんたと一緒は嫌よ! 何があっても!」



 彼女はそういうが、うるちも海童の覚悟は感じ取ったか、今この時だけは軽い冗談の様な雰囲気で言い放っていた。



「何だか知らないけれど……如何やら呼ぶ気は毛頭ないみたいだし、一人の水晶はあっちに転がっちまって手が届かない……なら! そっちを痛めつけさせてもらうよ!」



 言うが早いか組はうるちへ急接近し重なる様に立ち、ヨーヨーを模した形状を活かして勢いを付けた『ネフィーラ』を、空気を切り裂き唸り声を上げさせながらぶつけてくる。

 このまま衝撃波を放てばうるちを巻き込んでしまうが、中途半端なモノを放ってもうるちのビーズを奪われてしまうだけ。

 組の顔に、勝利を確信したかのような笑みが浮かんだ。




 そしてうるちが衝撃に備えるため目をつぶった―――――――刹那、



「どぉらあああっ!!」
「う、わああっ!?」
「ちょ、うええええっ!?」



 何と驚くなかれ、海童が気合い一発叫んだ瞬間、地面が隆起し二人とも空中へ思いっき
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