彼と暴力事件
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出て話を聞いていた二人は、申し訳なさそうな顔をして去って行く男子生徒を見て、うるちはため息を吐き海童は眉をしかめた。
「五人目も情報なしか」
「本当に記憶が無いみたいね……これ以上被害者に直接当たっても、成果は無さそうね」
犯人を探そうにも情報が無い。ならどうしようかと考えた末、海童がまずは被害があったとハッキリしているのなら被害者に当たってみては如何かと提案し、うるちはとことん彼が嫌いなのか変わる意見を必死に探した揚句、無かったのでその意見の本当に渋々ながら任せ、今の状況に至るという訳だ。
役立たずとののしられるかとも海童は思ったが、これ以外に取れる方法が無い事がうるちも分かっているのか、何も言わずにメモ用紙に情報を書いていた。
そういえば・・・と海童はうるちを見てある疑問を抱いた。それは何故自分を嫌っているか……ではなく嫌う原因となってる『何故春恋を“異常に”慕っているか』である。
慕いすぎて最早同性愛にも似た……いや同性愛そのものと言っても過言では無い感情となっている、その元は一体何なのか。海童はちょっと気になったのである。
(……恋にも近い感情・・・俺がハル姉の傍にいるから気に入らない=嫌いってのは分かるんだが……)
寮に帰ったら春恋にでも聞いてみるかと、うるちがメモを書き終わったのを見計らって海童がベンチから立ち上がった、その時。
「ちょっといいかい?」
「え?」
「……」
彼等を呼びとめた声に振り向くと、二年生らしき黒髪の女子生徒が、海童とうるちを呼んでいた。
「なんでしょうか? 此方も忙しいので、簡潔にお願いします」
「何、そんなに難しい事じゃないさ……そうだね」
そこで区切った女子生徒は、ニヤリと笑って衝撃の言葉を口にする。
「あんた達……例の事件の犯人を知りたくはないかい?」
「なっ!?」
「チッ」
もしや!? と思った二人は先輩から距離を取る。そんな彼等を追う事はせず、女子生徒は親指で自分を指差した。
「アタシは二年の網緒。網緒 組さ」
「私は魔導執行部の一年、水屋うるちですアレは検警部のお―――」
「俺は検警部一年、大山海童です」
何を言われるか一瞬で理解し、それを言われると本気で怒りそうになると感じた海童は、うるちの言葉を無理やり遮って自己紹介をし、うるちの方をなるべく見ないように努める。
「……とにかく、網緒先輩。詳しい話は統生会室で聞きます。大人しくついてきて下さい」
「ふふ、なるほどね」
「?」
「『水屋うるち』に『大山海童』だね! 魔圏『ネフィーラ』
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