彼と暴力事件
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頭を押さえ、その横にいた穣華がまた気の抜ける音を立てて手を合わせた。
「え〜と、大山君と水屋さんは二人で別件に当たってもらいま〜す」
「はい!?」
「……何?」
明らかに不満そうな二人など知らないといった感じで、楓蘭が詳しい説明を続ける。
「最近校内で不審な暴力事件が起こっているのです。何でも、傷跡は残っていれど、被害者は皆事件の記憶を無くしているとのことですわ。頭に強いショックを受けた様子もないことから、十中八九マケンがらみ且つ「決闘」では無い事は明白。二人は事件の被害者に当たり、再度情報の収集を行ってください」
そこで資料をしまい、楓蘭は二つの小さな球体を取り出して、うるちへはストンと普通に、海童へは彼女の男性恐怖症を知っていても傷付いていしまう程そ〜っと、掌に置いた。
公私混同はしないんじゃないのかよと不満が漏れかけたが、すんでの所で押さえる。不満を表に現しても、個人的なものなので意味は無いからだ。
「もし、万が一対応しきれない事があったらその球体を、エレメントを込めて潰してください。場所の特定が出来ますわ……では各自作業に取り掛かる様に、以上!!」
楓蘭の言葉で皆統生会室を飛び出して行ってしまい、部屋に残ったのは不審事件担当の海童とうるちのみとなる。
うるちは暫く黙っていたが、立ち上がりながら口を開いた。
「大山海童。あなたに一つ言っておくことがあります」
「……?」
「私は、あなたの事が嫌いです」
「……」
まさか普通に接しているつもりだったのだろうか、今更言わなくても普段の言動で丸分かりだろうが、と海道は思う。が、うるちはそれだけでは話を止めなかった。
「あの破壊能力は兎も角……身体能力的な実力も評価していないし、気が合うとは思えない……けど」
「……」
「曲がりなりにも貴方はマケンキのメンバーで、私は魔導執行部執行官。それに見合う働きをしなければいけないから……ここは協力しましょう、大山君」
握手の為か差し出された手を、海童はこの場のみ嫌な顔はせず握って、それから立ち上がる。
「……わかった、水屋」
「では行きましょう」
途中、部屋を出てから海童の握った手を、ハンカチで拭いている所を見て本気で堪忍袋の緒が切れそうになったが、それはそれでこの女に「器の小さな男が云々」と馬鹿にされそうだと黙り、しかし殺気に近い怒りを滲みださせながら、うるちの後へ着いて行くのだった。
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「ごめんなさい、これ以上は本当に覚えていなくて……」
「いえ、ご協力感謝いたします」
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