彼と暴力事件
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ココ、コダマ先輩!? 何でぇぇええっ!?」
「……頂きます」
体重計が出した数値を見て驚きに驚く二人へ、コダマはそれなりに得意げな顔で説明した。
「いくら食べても太らない体質なんじゃよワシは……それに」
「はうっ!?」
「ひゃっ!?」
「……」
コダマはそこで言葉を区切ると、恨みの視線と共に二人の胸を鷲掴みにした。
「それにこんな余分な物の付いておらんし……のぉ……?」
「コダマ先輩、顔が怖いですぅ……!?」
「じ、地雷を踏んじゃったみたいね……」
「……御馳走さん」
騒いでいる間にあっという間に少ない朝食を食べ終えた海童は、冷蔵庫へ寄ってからロフトに上がって、取り出した物の内一つである栄養補助ドリンクゼリーを飲んで呆れ顔を作り、
「やってられるか」
まだ騒いでいる彼女達に聞こえないほど小さく、愚痴にも近い言葉を呟く。……食卓で食べず隠れるようにしているのは、せめてもの気遣いであろう。
そしてそれを飲みながら、バッグの中に取り出したもう一つの物、栄養補助クッキーバーを入れるのだった。
……それも、春恋のしつこい検査の手によって、空しく取り出されてしまったのは余談である。
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ダイエット(本人は否定しているが)発令から三日後。
授業もあらかた終わり、海童達は統生会室で各部の予算に対する論議や、来るであろう質問等へ対応する者を決める為の会議を行っていた。
資料を手にホワイトボードの前で、楓蘭が眼鏡を軽く押し上げながら説明を続けている。
「以上の事から、予算の決定に納得しない部は多数出ると思われます。なので不満が大きくなる前に、そこで皆さんには各部を2、3人で回ってもらい、予算に反感を持つ部へ説明に当たってください。ではメンバーを発表します……文化系の部へは天谷さんと砂藤さん。運動系の部へは志那都さんと―――」
そこで、前方の席からグゥウ〜ッと大きな腹鳴りの音が聞こえ、楓蘭は怒りからか僅かに震えながらその方向にいた人物を指差した。
「そこっ! お静かに!!」
「すみませぇん……うぅ」
その音の主はイナホだった。彼女は空腹の苦しさからか涙を流しながら、机に突っ伏してしまっている。朝食が少なく弁当無しでは仕方が無い。
ちなみに、海童はクッキーバーを全て没収されたものの、金を使って自分の分のパンは毎食確保しており、腹は満たしているので鳴っていない。何故イナホに上げなかったかは、三日前の朝の出来事で分かるだろう。
大丈夫か心配になってきたらしく楓蘭は
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