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同じ姉妹
第四章
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なくそのことも話す。
「走ってるのよ」
「そちらの人と」
「ええ」
 今答えたのは多恵ではなかった。千恵であった。
「そうなのよ」
「あっ、双子の人だね」
 純にはすぐにわかったのだった。誰かも。
「もう一人の」
「そうよ」
 千恵は急に話に入ってきた。そんな感じだった。
「千恵っていうの」
「千恵ちゃんだね」
「そうよ。よかったら」
「そうだね。宜しくね」
 彼女に対しても明るい声をかけるのだった。だがその声の色もそれを出す表情も多恵に向けたものとは少し違う。微妙な違いであった。
「それでさ」
 また多恵に顔を向ける純であった。
「多恵ちゃん」
「ええ」
 彼女に顔を向けてその名を呼ぶのだった。
「そのピザ美味しい?」
「ピザなの」
「うん、どうかな」
 それを彼女に尋ねるのだった。見れば千恵も同じようにピザを自分の席の前に置いている。カルピスチューハイがあるのも同じだった。
「美味しい?」
「うん」
 純のその言葉に頷く。多恵がであった。
「とてもね」
「そう。だったらさ」
 多恵にまたピザを出してきた。それを食べるように勧める。
「じゃあさ。もう一枚どう?」
「もう一枚なのね」
「そうだよ。もう一枚ね」
 またそれを勧めるのだった。ついでにカルピスチューハイも。
「これもね」
「チューハイも」
「今度のピザはね」
 話はピザに移る。見れば今まで彼女が食べているピザとは具が違っていた。さっきのはトマトとベーコンだったが今度のは海老のピザだった。
「海老なのね」
「そうだよ。海老いける?」
「ええ」
 今度も答えたのは多恵だった。千恵はその横で俯いていた。見れば彼女は自分で海老のピザを取り寄せていた。それを一人で食べている。
「海老も好きなのよ」
「海老もね」
「そうなの。シーフード好きだから」
 それを純に話すのだった。
「だから。有り難う」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。さあ」
 そう言いながらそのピザを勧める。
「食べて。それで飲んで」
「飲むの」
「カルピスチューハイもいいよね」
 そちらにも話がいく。やはり多恵は飲むのならカルピスチューハイだった。他にも好きなものはあるが実はどれも甘いお酒である。これは千恵も同じ好みなのだが。純が見ているのは彼女だけだった。
「ええ。有り難う」
「どんどん楽しんで。さあ」
 言いながら今度はマイクも差し出してきた。

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