暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
ソードアートの登竜門 その壱
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むところだろう。いやしかし命が係わっている以上、そう簡単に諦めるわけにはいかない。

――考えろ。考えるんだ。俺ならできる。MMOジャンキーとしての意地、ゲーマーとしての真骨頂を魅せてやろう。

Q,あの三体のコボルドを同時に釣って、誘導させたのちに、出入り口に駆け込むのはどうだろうか。
A,無理。ジリジリ壁際まで追い込まれて袋叩きで死ぬ。命かけるような策じゃない。

Q,コボルド一体だけ釣って、隙間を縫うように脱出というのは。
A,無理。釣った瞬間に隠蔽スキルが解除されるから脱出する前に逃げ道を塞がれる。囲まれて死ぬ。

Q,アルゴの攻略本どおりに一匹ずつタイマンで倒してみよう。
A,無理。現行タイマン最弱装備で一勝できるかすら怪しい。死ぬ。

Q,時間切れでコボルドが帰っていくのを待つ。
A,無理。経験と直感から言うとこいつらずっと此処に居る。ストレスで死ぬ。

Q,フレンドに助けを請う。
A,あっそれだ!

 俺は身を屈めて、できるだけ背景に溶け込むようにして隠蔽スキルを解除し、ウィンドウからフレンドの項目を開く。
 その中には二人だけ、≪キリト≫と≪クライン≫の名前がある。この一ヶ月、俺のパーティー向きではない装備と、デスゲーム状態のせいでチュートリアル後にフレンドはできなかった。誰だって命のかかったゲームで、「オレ暗殺者でーす」なんていう奴と組みたくはないのだろう。いやそれはさすがに被害妄想だろうか。フレンドができないのはこのビルドが底なしのソロ向きだからという理由でしかあるまい。

――しかし、キリトとクラインか……。

 そう思わずにはいられない。俺はあのデスゲーム初日にキリトとクラインを置いて単独行動をした。キリト達を少しも探さずに俺はレベル上げに出かけたのだ。

 そのことをデスゲーム二日目から後悔しだした。デスゲームのこの世界は誰しもが心細い。もしかしたらキリト達は俺のことを恨んでいるかもしれない。いや、恨んではないにしても裏切られたとは思っているだろう。自分があの時、二人を無視することを無意識に決めたんだ。そう思うと心が苦しい。
謝罪のメッセージすら送れずに、なんて書いて送れば許してくれるかすら、わからなかった。
いまさら、俺がキリトに助けを乞うてもいいのだろうか。それは流石に、自分本位が、過ぎないだろうか……。

―――いやいや、良いに決まってんだろ。俺死にたくないし。

 俺は比較的近くに居るほうのプレイヤー、キリトにメッセージで「しんじゃう。たすけて」という簡素にしてなかなか魅力的な文を送る。

 ついこの間に知ったことなのだがこのゲームはフレンド個人にメッセージを送れるらしい。SAOの一つ前にやっていたゲームは海外のオンラインゲームだったからゲーム内で仲の良い日
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