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ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
ソードアートの登竜門 その壱
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足で死んで行くプレイヤーもいた。
というのも、これは正直なところ自業自得、準備不足、もしくは馬鹿だ。
 道具屋にいけば少なくともβの時の情報がほとんど書いてある≪アルゴの攻略本≫という無料情報が置いてある。
 金が無くても貰える上にとてもわかりやすい。この情報を読み込めばどこが危険な場所か簡単に分かる。
 この情報が開示されてから待ってましたと言わんばかりに攻略に立ち上がるプレイヤーも少なからずいたぐらいだ。

 この攻略本は俺も愛用していて、初めて著者のアルゴに会った時は感謝の言葉を述べた。正直なところ、大ファンだ。



 前置きはここまで。
 さて、本題。

 そんなアルゴの攻略本≪東南の洞窟篇≫の七ページにはこういう一文が書かれてある。

『この洞窟で最も気をつけなくちゃいけないのは小部屋の宝箱トラップ。宝箱の中は何も無くて出入り口から二〜五体のレベル6≪ルインコボルド・バンディット≫が襲ってくるヨ。厄介なのはこのコボルド、隠蔽で姿を隠しても何処にも行かずに唯一の出入り口の前で立ち往生することダ。パーティーなら大した敵ではないけど、ソロならそこらへんの石コロを投げて一匹一匹コボルドを釣りながら対処するのがオススメだナ』

 そう。お察しかと思われるが。

 俺の目の前には開け放たれた宝箱、その向こう側には三体のコボルドが周囲をキョロキョロ見回して馬鹿な得物を探している。

 まぁ。俺のことだが。

 現在、俺は日の光の入ってこない東南の洞窟で、愛読書(こうりゃくぼん)の情報をすっかり忘れて愚かにも宝箱トラップに引っかかってしまった。
 宝箱を開けた瞬間に後ろから複数個のコボルトの声を聞こえて、俺は咄嗟に隠蔽スキルを使って隠れた。
 俺の隠蔽スキルの熟練度はビルドの構成上、相当に高いため超近づいても見つかる心配はないのだが、しかしここで大きな問題が生じる。

 逃げられない。

 今居る洞窟の一室、その出入り口を三体のコボルドが占領しているのだが、x軸にもy軸にも人間一人が通れる隙間はない。
 通れないということはスルーできないということなので、最悪の場合戦わなければいけないということである。
 しかし俺のビルドは一対多数に非常に不利な≪暗殺者(アサシン)≫ビルドだ。
 隠蔽スキルを使って気づかれずに近づいて、後ろから急所をブスリ。というのがこのビルドの真髄であって、敵と正面衝突して戦うことには適さない。というかほぼ無理だ。できない。勝ち目なんてあるわけがない。
 しかも、同時に三体とくればもう完敗。こういった多数に追い掛け回される時は俊敏全開で逃げて隠蔽で撹乱するのがいつもの策だが、ここではできない。
 ざっと見たところ詰みの状態だ。これが遊びのゲームなら死を覚悟でイチかバチか突っ込
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