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同じ姉妹
第一章
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装飾や絵で飾られているのまで一緒だ。だが今は違った。他ならぬ彼女の心が違っていたからだ。またしてもコンプレックスに苛まれる。その辛さの中に身を置いてどうにもならなかったのだ。
 その日はそのまま打ちひしがれていた。それは次の日も少し尾を引いていたがやがて消えた。その消えてから暫く経ったある日のことであった。
「ねえ、常盤シスターズ」
 キャンバスのなかにいる二人に対して二人の共通の友人である酒井由香奈が声をかけてきた。胸大きくぱっちりとした目を持ちいつもミニスカートやゴスロリといった派手な服を着ているかなり目立つ女の子だ。性格もそんな感じで何かというとコンパだの合コンだのに顔を出している。そんな娘だ。
 その彼女が二人に声をかけてきた。二人も何で声をかけてきたのか薄々わかってはいた。しかしそれは言葉には出さずにあえて聞くのであった。
「ちょっといいかしら」
「何なの?」
「何かあるの?」
「あるから声をかけたのよ」
 裕香奈はにこりと笑って二人に言うのだった。明るい感じで。
「今日。暇?」
「今日?」
「そう、今夜」
 時間を正確に述べてきた。
「時間あるかしら」
「今日はまあ」
「あるけれど」
 二人共今夜は時間があいていた。それで家でゆっくりと過ごすつもりだったのだ・ところがそうは問屋が卸さないというわけだったのだ。
「じゃあいいわね。あのね」6
「何なの?」
「合コン行かない?」
 にんまりとした笑みを二人に向けて言ってきた。
「合コン。どうかしら」
「やっぱりそれなのね」
「わかっていたけれど」
 二人はそれを聞いても驚かなかった。やはり心の中で予想していたからだ。裕香奈が声をかけてくるとしたら遊びしかない。だからすぐにわかったのだ。
「わかっていたらいいじゃない。じゃあ決まりね」
「断るって予想はしないの?」
「全然」
 多恵の問いにもあっけらかんとしたものであった。これも裕香奈であった。
「そんなの最初から考えていなかったわ」
「そうなの」
「そうよ」
 にんまりとした笑みのまま多恵にも答える。
「わかったらね。じゃあ」
「今夜なのね」
「そうよ。待ち合わせは駅の南出口」
 丁度カラオケや居酒屋が側にある遊び場だ。言うまでもなく裕香奈の遊び場だ。彼女は何かというとそこに出ては遊んでいるのだ。根っからの遊び人なのだ。
「六時にね」
「六時ね」
「その間に用意でも何でもしておいて」
 二人にこうも告げた。
「今回は特に格好いいの連れて来るからね?」
「格好いいのって?」
「経済学部の面々よ」
 多恵も千恵も文学部だ。しかも同じ日本の昭和文学を専攻している。ただ多恵は戦後間もない頃の文学を、千恵は大正のものをという差はある。だがここでもやはり千恵の方が優秀とされて
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