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駄目親父としっかり娘の珍道中
第64話 何時の季節も蚊は鬱陶しい
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しさを埋めようとする反面少し意地悪になってしまっていたようだ。

「あ〜らら、旦那だけ逆さ吊りですかぃ? 難儀なもんですねぃ」

 そんな銀時の前にドS侍こと沖田がコーラを片手にやってきた。どうやら面白そうなので見に来たようだ。

「あり? チャイナ娘の縄まで解いちまったのか? 残念だったなぁ。もう少し早く来てりゃ逆さ吊りになってたこいつを拝めたってのに」
「うっせぇよ、あべこべにてめぇを逆さ吊りにしてやろうかぁ?」
「生憎だな。俺ぁ縛られるより縛る方が好きなんでぃ」

 その後も沖田と神楽との間では凄まじい抗争が行われていたのだが、この際其処は無視させて貰う。どうせ毎回見る事になるのだろうし。

「おいてめぇら! いい加減この縄を解きやがれ! 主人公にこんな事してただですむと思ってんのかコノヤロー!」
「大丈夫だよ。お父さんは頑丈だから他の軟弱主人公みたいに繊細に扱う必要とかないだろうし」
「俺だって一応繊細なんだよ! ガラス細工なんだよ!」
「お父さんはガラス細工って言うよりは寧ろ超合金じゃないの?」

 片や早く降ろせとわめき散らし、片やそんな哀れな父の姿を傍観する娘。そして、そんな姿を不気味な笑みを浮かべながら楽しそうに見つめるドS王子。何ともシュールな光景であった。

「うぅ……頼むよぉ、お願いだから降ろしてくれよぉ。俺もうこのままじゃ余りにも惨めすぎて大手を振るって町を歩けなくなっちまうよぉ」

 遂には泣きが入ってしまった。流石に其処まで行ってしまうとちょっと可愛そうになってきてしまった。

「やれやれ、まぁ其処まで言うってこたぁ反省したんだろうし、そろそろ降ろしてやろうじゃねぇか」
「おぉっ! 流石は沖田君。話が分かるぜ」
「そんじゃ、これを鼻から全部飲めたら縄を解いてあげますぜぃ」
「え!?」

 そう言って沖田は持っていたコーラの中身を迷うことなく銀時の鼻の穴目がけてたらしていった。じょばじょばと真っ黒な液体が銀時の鼻の穴の中へと入っていき、それが激痛へと変貌していく。

「いだだだだぁぁ! なにこれ、何この懐かしさ! 小学生のころのプール実習とかぁ? ってかもういい加減解いてくれぇ!」
「駄目でさぁ、全部飲みきるまで解きませんぜぃ」
「沖田てめぇ!」
「一滴でも零したらダメですからねぃ。ちゃんと全部飲み切って下せぃや」
「チックョオオオオオオオオオオオ!」





     ***




「あぁ? 隊士全員が寝込んじまっただぁ?」

 沖田の意地悪からようやく解放された銀時は、現在屯所内で起きている惨状を聞かされていた。どうやら金儲けに訪れた筈がとんだ面倒臭い事態に巻き込まれてしまったようだ。

「情けない話だが、今の俺たちぁ見えない敵
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