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駄目親父としっかり娘の珍道中
第64話 何時の季節も蚊は鬱陶しい
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に比べればそれほどへんちくりんな恰好ではないのだが、どの道こんな二人と一緒の時点でこいつも怪しく思えた。




     ***




「とりあえず屯所内を一通り見させた貰いましたが……こりゃ相当性質の悪い悪霊がとりついているみたいですねぇ」

 一通り屯所内を歩き回った結果を長身の男が簡潔に述べる。それを聞き、近藤は思わず身震いをし、土方は舌打ちをした。沖田はまるで他人事の様に横目で空を眺めており、シグナムとザフィーラは黙ってそれを聞いている。そんな風景が映し出されていた。

「こりゃ私達が今まで出会ったどの悪霊よりも凶悪ですよ。こりゃぁ料金も相当弾んで貰わないといけませんなぁ」
「そ、そうですか……で、その悪霊とは一体どんな姿なんでしょうか?」
「う〜〜んと……工場長だったアル」

 突然突拍子もない事を口走った中国娘の後頭部をひっぱたき、黙らせた後また長身の男が口を開いた。

「すみませんねぇ、どうやら此処に居るのはベルトコンベアに挟まって非業の死を遂げた工場長の怨霊だと言っているみたいなんですよ」
「あのぉ……隊士達が言うには女の霊って言ってるみたいなんですけど。ってか何で工場長の霊が家に?」

 近藤が申し訳なさそうに進言すると、突然目の前の三人が集まり何やら相談事でもしているかの様にひそひそと語り合いだす。その時間実に1〜2分程度。それが終わると元通りの位置に戻り、軽く咳払いをして話を進めた。

「間違えました。どうやらベルトコンベアに挟まって非業の死を遂げた工場長に顔が似てると言われてショックの余り自殺した女の霊だったみたいですね」
「いや、どんだけ工場長とベルトコンベア引っ張るんだよ! 前半丸々いらねぇだろう確実に!」
「とにかく、これ以上被害が広がらないようにちゃっちゃと除霊しちゃいましょうか」

 言うや否や、三人はそっと立ち上がりだした。

「とりあえずお前。確か名前は何て言ったっけ? むっつり犬天人で良いか?」
「お前、もしかしてわざと間違えてないか? 因みに俺の名前はザフィーラだ」
「あっそう。とりあえずこれからお前を使って除霊するから。少し協力してくれや」
「俺を使ってか? 別に構わんが一体どうやって除霊するんだ?」
「えぇっと……あれだ。お前ごとしばき倒して除霊する」

 はっきり言って無茶苦茶な除霊方法であった。そんな除霊方法に納得などする筈もなく、即座に異議を唱えようとザフィーラが立ち上がろうとしたまさにその刹那、突如中国娘の右拳がザフィーラの鳩尾に深く決まった。

「な、何をする……貴様ら……」
「おぉおぉ、こりゃ相当強力な霊ですなぁ。中々霊が入らないアルよぉ」
「こりゃ参ったなぁ……しょうがねぇ」

 長身の男が中国娘に無情な命令を
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