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駄目親父としっかり娘の珍道中
第64話 何時の季節も蚊は鬱陶しい
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 一体イエローデビルにどんな恨みがあるのか? そんな疑問を感じつつも結局マヨネーズの買い置きがないのでは仕方ないとばかりにため息をつくマヨラーの二人。
 本当にこの二人が居ると一日のマヨネーズの消費量が尋常じゃないので案外困って居たりする。

「シャマルさん、シャマルさん! 大変だよぉ!」

 そんな矢先の事だった。すぐ近くでなのはが慌てた声でシャマルを呼んでいたのだ。

「どうしたの?」
「近藤さんが白目剥いたまま倒れちゃってるの。それに口から泡吹いてるし……あと、何か何時もよりおっさん臭いんだけど……」
「に、匂いはともかく……近藤さんの身に一体何が―――」

 そう言ってるなのはのすぐ目の前にはピクピクと痙攣し、白目を剥いて泡を吹いている真選組局長の哀れな姿があった。どうやら他の誰よりもさっきの話にのめりこんでしまっていたようだ。その為に最後の土方とシグナムの怒号に胆を潰してしまったのだろう。

「きゃああああ! 大変、すぐに蘇生措置しないと! 心臓マッサージ? それとも人工呼吸? とにかく、死なないで近藤さぁぁぁぁん!」

 意識を手離し反応一つしない近藤に慌てふためくシャマル。そんなシャマルを余所にパニックしまくっている隊士達。そんな阿鼻叫喚の寝床を後にし、土方とシグナムは隣の部屋で互いに対面の位置に座って焼きそばを食べる事にした。

「ったく、何が怪談話だ。ガキじゃあるまいし」
「全くだ。あんな連中の中に居ては主の教育に悪い。少しは自重して貰わなければ」
「おい、それどういう意味だ? 大体そもそもてめぇらが勝手に―――」

 土方の言葉は途中で途切れた。何処からか別の方向から声がしたのだ。薄気味悪いような、か細いような、とにかく気味悪い声が部屋全体に響き渡っていた。

【死ねぇ、死ねよ土方〜。頼むから死んでくれよ〜。どうせなら隣に居る姉ちゃんもついでに死んでも良いからよ〜。二人仲良くあの世でマヨネーズでも啜り合っててくれよ〜。ついでに死ぬ前に土方の預金全部(以下略】
「な、何だ? この薄気味悪い声は……」
「分からん、だが……私をついでとはどういう意味だ?」

 どうやら自分がついでと言うのに心底腹立たしく思ったのだろう。シグナムの額には苛立ちの青筋が立っていた。だが、問題はそれよりもこの不気味な声だ。一体何処から声がするのか?
 土方は冷や汗を流しながら耳を澄ませた。部屋中に響くのは音の反響のせいだ。反響の跡を辿り何処から音が流れているかを察知する。常に死線と隣り合わせの日々を送っている真選組ならばそれ位の事は造作もない。そして、それは隣に居るシグナムも同じと言えた。
 二人は全く同じ動作、同じ速さ、同じタイミングで歩んだ。外へと続く障子の取っ手を掴み、一気に開いた。
 
「死ねぇ〜
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