第64話 何時の季節も蚊は鬱陶しい
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た方が良いかもね」
ひそひそと互いに耳打ちしあうなのはとヴィータ。何がなんでもシグナムの二の舞にはなるまい。そう心に誓う両者であった。
「何か、場の空気がしらけちゃいやしたねぃ」
「帰るアル。ビビり共は其処で仲良く震えてるが良いネ」
相変わらずのドS発言が胸に突き刺さる。まるで鋭く巨大な刀の様な物で胸を抉られるような気持ちだった。
「ま、待てお前ら! 俺は別にビビッてなんかいねぇぞ! 此処に居るマヨラーカップルは別として!」
「誰がカップルだ! 俺だって別にビビッてねぇぞ! ただ俺にはちと胎内回帰願望の気があってだなぁ……」
「て、天井裏に攘夷志士が隠れてるかもしれないと思い身を挺して調べていただけなのです! 決して誤解しないで下さい主よ! だから見捨てないで下さいますですじゃ!」
必至に弁解する三人。だが、そんな三人に対し、一同の冷たい視線は容赦なく降り注いだ。
「分かった分かった。ムー大陸でもマヨネーズ王国でも古代ベルカ帝国でも何処でも好きな所へ行って来いよヨ。いい加減お前らの言い訳が見苦しくなってきたネ」
最早逃れようのない事実が突き付けられた。今此処に居る人間たち全てにこの事実がはっきりと刻まれてしまったのだ。
つまり、銀時、土方、シグナムの三人はお化けを怖がっている……と。
「上等じゃねぇか! こうなったら俺たちがその赤い服に長い髪の女をとっ捕まえててめぇらの前に突き出してやんよぉ!」
その発言がそもそもの間違いとなってしまった。その言葉を聞いた一同は「それじゃいってらっしゃい」と言って三人だけを残し、部屋に戻って呑気に雑談をし始めたのであった。
しかし、今の三人にそんな奴らの事などどうでも良かった。今に見ていろ貴様ら。必ず今回の事件の首謀者を捕まえて奴らの鼻を明かしてやる。
三人は互いに頷き合い暗い屯所の中へと消えて行った。
それが……三人を恐怖のどん底へ突き落す切欠になろうとは、この時はまだ誰もそれを知る由もなかったのであった。
つづく
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