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駄目親父としっかり娘の珍道中
第64話 何時の季節も蚊は鬱陶しい
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やかな視線が突き刺さる。その視線に気づいた土方はツボから顔をだし、冷や汗でギトギトになった顔をちらつかせながらそっと口を開いた。

「いや……あのツボの中に幻のマヨネーズ王国へ繋がるって話を聞いてな。是非それを一目見ようとだなぁ……」

 これまた苦しい言い訳であった。これでは明らかに「私はビビりです」と言っているようなものであった。

「やれやれ、銀ちゃんだけじゃなくてトシ兄ちゃんもお化けが苦手やったんやなぁ」
「はぁ? おおお、俺は別にお化けとか苦手じゃねぇしぃ。勘違いしないでくんない? なぁ土方くん?」
「あ、ああああぁ! 勿論そうに決まってるじゃねぇか! 俺は常に死線と隣り合わせで生きてたんだ、それがお化け如きにビビッてたらキリがねぇってんだよ。なぁシグナム?」

 咄嗟に彼女に助けを求めようと無理やり話題を振ったは良いが、振った時点で一同が気づいた。
 部屋にシグナムの姿がない事に。
 そして、天井から粉の様な者がパラパラと零れ落ちる光景が見られた。
 何事かと思い皆の視線が天井に注がれる。其処には天井に上半身を突っ込み、土方と似たように下半身をばたつかせているシグナムの姿があった。

「シグナム……お前もか?」
「な、何を馬鹿な事を言っているんだ!」

 咄嗟に天井から降りてきたシグナム。勿論の事だが彼女もまた顔中冷や汗でグッショリであった。

「こ、これはあれだ! ここの天井裏にかつて栄華を極めたと言われる古代ベルカ帝国への入り口があると風の噂を聞いたのでな。その真偽を確かめようとこうして行ってた次第でありましてでございましてですますのですじゃ」

 次第に言動が支離滅裂になりだしている。恐らく彼女自身結構てんぱってるのだろう。次第に言い訳のネタが思いつかなくなり最終的には口を金魚のようにパクパクとさせてるだけになっていた。

「シグナム……無理せんでえぇで」
「あ、主……」

 焦るシグナムにそっと優しく語りかけるはやて。彼女の幼い手の温もりがとても心地よく感じる。

「誰しも怖い物の一つや二つくらいあるもんや。別にシグナムがお化けが怖いとか知った所で誰も幻滅せぇへんでぇ。寧ろ烈火の将と呼ばれたシグナムがお化けを見て【きゃぁ、怖ぁい!】とか言って可愛い声で泣き叫ぶ所とか逆に胸熱やん。私寧ろ見てみたいわぁ、そんな訳なんで別に気にせんでもえぇんやで」
「・・・・・・・・・・・・」

 はやての言葉を受けたシグナムは、正に顔面蒼白状態になっていた。彼女なりには必至にフォローを入れたつもりなのだろうが、誰がどう見てもはやての発言は確実にシグナムにトドメを打ったようなものであった。

「はやての奴、案外えげつねぇ事言うなぁ」
「うん、これからははやてちゃんをあんまり刺激しないようにし
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