第64話 何時の季節も蚊は鬱陶しい
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に四苦八苦状態も良い所だ。胸糞悪い」
一通り語り終えた土方が不満を覆い隠す様子も見せず無造作にたばこを地面に放り捨てて、それを足の裏で踏み潰した。
相当イライラしているようだ。
「何時になくイライラしているんですね。土方さん」
「当たり前だ。江戸の治安を守る俺たちがお化けなんぞにやられたなんて知られて見ろ! 赤っ恥も良い所だ! くそっ、実体がありゃ刀でなますに切り刻めるってのにないってんじゃお手上げだぜ」
悔しそうな面持ちで語る土方。だが、そんな土方を見てか銀時の顔が意地悪そうに歪みだす。
「何? お前もしかして幽霊とか信じてる口なの? いたたたた! 痛い、痛いよぉぉぉ! お母さぁぁぁん、此処に頭怪我した人が居ますよぉぉぉぉ!」
とっても意地悪そうな顔をしつつお腹を押さえて笑い出す銀時。心底そんな銀時が土方には憎たらしく見えたようだ。その証拠に土方の手は腰に挿してある刀に伸びていた。
「おやおや、どうしたんだい銀時?」
そんな事をしていると、まるで何処かの長寿アニメのお母さんみたいな恰好をしたなのはが銀時の側に居た。
「あぁ、お母さん! あの人頭が怪我してるんだよ。マジできちがいな事抜かしてるんだよマジで!」
「駄目だよ銀時。幾ら目の前に馬鹿できちがいな人が居たとしてもそれを口に出したらきちがいな人に失礼でしょ?」
「親も親なら子も子だな。親子揃って人をイラつかせやがって」
土方の額に大量の青筋が浮かびある。だが、幾ら怒りが溜まっているとはいえ相手は子供。そんな子供に暴力を振るう訳にはいかない。それこそ侍の名折れだ。
「それにしても、近藤さん遅いなぁ」
「ったく、天下の真選組局長がお化け如きで一人で厠にも行けねぇとはなぁ、同じ侍として情けないぜ」
ちなみに近藤は場面が変わる少し前辺りで一人で厠に行けないと言う事なので神楽とヴィータを引き連れて厠へと向かったのであった。
大の大人がお化けのせいで一人で厠にも行けないと言うのは正直笑い話にしかならない気がするのだが―――
【ギィィィヤァァァァァァァァ!!!】
突如として、盛大な近藤の悲鳴が木霊した。恐らく厠からであろう。不吉な予感を胸に一同は屯所内にある厠へと急いだ。
例にもよって其処では近藤の入っているトイレの扉を仕切りに叩く神楽とヴィータの姿があった。
「神楽、ヴィータ。一体どうした?」
「あのゴリラチャックに金玉挟んだみたいアル?」
「はぁ、何だそりゃ?」
いまいち理解できない。仕方ないので強引にトイレの扉を開いてみる。すると、其処には洋式便座の中に頭を突っ込んだ近藤の姿があった。
さながら犬神家の様な感じだった。そんな姿を見た一同が口ぐちに声を揃えて呟いた。
「何でそう
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