騒がしい春の協奏曲(四月)
第一章 小問集合(order a la carte)
第五話 バカとテストと機関銃
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済むのだが、一歩でも下がれば敵前逃亡として脱落してしまう。
いわゆる背水の陣という奴だ。
『Dクラス 川上雫 DEAD 桑原聡美 36点
和田佳通 63点 』
こちらに攻撃を与えるための距離に接近するのにさえ4秒以上かかる敵に対し、こちらは一発で恐らくだが持ち点の一割から二割、つまり10〜30程度のダメージを与えることが出来る銃弾を一秒間に5発程度、遠距離からばらまいているのだ。
そう簡単には負ける訳にいかない。
命中精度は今のところ5割程度とあまりよくないが四人程度なら……
『Dクラス 桑原聡美 DEAD 和田佳通 DEAD』
軽く薙ぎ払えるだろう。
「戦死者は補習!!」
「「そんなぁぁぁ!!」」
「鉄人!?やだ、鬼の補習勘弁してくれぇぇ!!」
「いやだぁ!!拷問はいやだぁ!!」
「黙れ、あれはれっきとした教育だ。ただ単に勉強は恋人だと公言できるようにしてやっているだけだろうが!」
それを拷問とは言いませんか?
西村先生に拉致られて行く四生徒を見送る暇もなく、僕は次の敵さんの処理に追われるのだった。
「守備隊長より伝令、これより廊下左側の封鎖をゆっくりと解除する、心せよ。以上です。」
「了解いたしました。」
そういって伝令はそのまま渡り廊下へと戻っていた。
「皆の者、間隔を今までよりも広げるのじゃ!!」
演劇部での練習の成果なのか、よく通る声での指示が僕の所にまで聞こえた。
密集陣形で敵を足止めしていた味方が一斉に間隔を開ける。
その間隔の空き具合がこちらから見て左側が少し大きめに開かれる。
こちらの見方が誰もマークしていない穴となる場所が廊下左側に多いのは統率がとれている証だろう。。
その穴からわらわらとDクラスが突破してくるのもやはり作戦通り。
「ひとまずあいつを片づけるぞ、点数が高いといっても所詮やつはCクラス相当だ。Dでもまとまれば押しつぶせるぞ!!」
涌いてくる敵さんの中には戦況を読める指揮官がいるらしい。
Cクラス相当のレベルで、しかも一人を相手にするには良手だろう。
僕の武器が銃でなければ。
じりじりと包囲の輪を縮めてくる敵主力部隊に向けて、絶え間無く攻撃を続ける。
右に撃っても、左に撃っても弾が当たる。
言い方は悪いがターキーシュートとはこういうことだろう。
命中率は一気に10割になったが、あまり笑えない。
「銃器は近接戦に持ち込まれず、また相手の数が増えすぎなければ勝てますが……」
小さく呟き、もう一度周囲を見渡す。
飽和状態になりつつある周囲の様子に笑えてくる。
穴があくのを待っていた主力部隊がバカ正直にも全て突っ込ませてきたらしい。
「本当に、有り難くて涙が出るね。」
少しだけ男言葉に戻してつぶやく。
一
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